パブリックコメントを出そう! (締め切り3月7日)
食品安全委員会
https://www.fsc.go.jp/osirase/pfas_health_assessment.html
有機フッ素化合物(PFAS)に係る食品健康影響評価に係る審議結果(案)についての意見・情報の募集について
https://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_pfas_pfas_060207.html
パブリックコメント(500字)
有機フッ素化合物は容易に消え去らない環境汚染化学物質であり、すでに環境中に存在するものであり、汚染が拡大する前に対策を取らなければならない。特定できる汚染源(米軍基地やダイキン工業)を確定させ、汚染物質の環境への排出を止めなければならない。他の汚染源も調査し、対策を取らなければならない。
健康影響について、審議結果(案)は「情報は不十分」「証拠は不十分」とあるが、リスクが明確になるまで規制を保留するなら、汚染してしまって取り返しのつかない手遅れとなる可能性がある。それは水俣病を取り上げるまでもなく、深刻な健康破壊を招く。
米国で行われた「C8科学調査会」による約7万人の血液調査によると、PFORと次の6種の病状との関連性が確認されている。妊娠高血圧症ならびに妊娠高血圧腎症、精巣がん、腎細胞がん、甲状腺疾患、潰瘍性大腸炎、高コレストロール。
健康影響評価というなら、少なくとも汚染地での大規模な血液検査と健康調査を行うことで、現状把握をすることが欠かせないだろう。健康破壊の危険性に関しては安全側に立ち、くれぐれも手遅れにならない規制を行うよう心掛けなければならない。
*C8科学調査会 サイエンスパネルウェブサイト
2005年から2013年にかけて、C8科学パネルは、1950年代以降にウェストバージニア州パーカーズバーグのワシントン工場から放出されたPFOA(またはC8)の放出によって影響を受けた可能性のあるミッドオハイオバレーのコミュニティで曝露と健康調査を実施しました。次に、C8曝露と多くの疾患との関連を評価した。C8サイエンスパネルは作業を完了し、現在は存在しません。このウェブサイトは、その結果をまとめたものです。
科学委員会は、トニー・フレッチャー、デビッド・サヴィッツ、カイル・スティーンランドの3人の疫学者で構成されており、原発からのC8の放出に関する原告とデュポンとの間の訴訟の法的和解の当事者によって共同で選ばれました。パネル、その研究プログラム、およびその他の情報源へのリンクは、左側のリンクから見つけることができます。
主な結論は、科学パネルが曝露と疾患との関連を発見したか、見つけられなかったかをそれぞれのケースで要約した、可能性の高いリンクレポートの形式です。Probable Linkレポートの要約の背後にある詳細な科学は、科学雑誌の記事で公開されています。多くの記事が公開されており、さらにいくつかの記事がまだ公開中です。左のリンクをたどってください。サイエンスパネルは、高コレステロール、潰瘍性大腸炎、甲状腺疾患、精巣腫瘍、腎臓がん、妊娠高血圧と診断された6つの疾患カテゴリーについて、C8曝露との関連性がある可能性があると結論付けました。
http://c8sciencepanel.org/
【政治資金パーティーをめぐる裏金事件の再発防止を求める申入】
丸尾牧県議会議員の音頭で、全国の元職を含む97名の地方議員の連名で2月9日付けで、衆参両院議長への申し入れ!
2023年2月9日
衆議院議長 額賀 福志郎 様
参議院議長 尾辻 秀久 様
政治資金パーティーをめぐる裏金事件の再発防止を求める申入書
政治資金規正法により、政党や政治団体が政治資金パーティーを開催した場合、収入、支出などについて政治
資金収支報告書(以下 収支報告書という)に記入し、総務省、都道府県選挙管理委員会に届け出ることになっている。
ところが、自民党派閥において、パーティー券の販売ノルマを超える分は、派閥会計の収支報告書に記載せずその額は、安倍派において約13億5千万円、二階派において約3億8千万円、岸田派において約3千万円になっている。そのため、1月19日、各派閥の会計責任者が東京地検特捜部に起訴されている。
一方、議員側については、同日、大野泰正参議院議員とその秘書が、キックバックされた約5100万円を収支報告書に記載せず、政治資金規正法違反(虚偽記載)で起訴され、同様の手口で、谷川弥一衆議院議員とその秘書が、約4300万円を収支報告書に記載せず、起訴された。1月7日同様の手口で、池田佳隆衆議院議員とその秘書が、約4800万円を記載せず、逮捕された。
二階俊博衆議院議員については、販売ノルマ超過分約3500万円を派閥に納めず、手元にプールして裏金化し、収支報告書に虚偽記入したとされている。(1月20日報道東京地検特捜部による刑事処分一覧表から)
他にも、キックバックや中抜き分を収支報告書に記載しなかった国会議員政治団体は少なからずあるが、検察は4千万円以上しか議員を立件しないということも言われており、その曖昧な線引きに市民の批判が集中している
。また、派閥による多額の政治資金の裏金化は、組織的であり、継続的に行われており、決して許されるものではない。
政治資金収支報告書の意図的な不記載は、政治資金の透明化を求める政治資金規正法の趣旨に反し、極めて悪質であり、法に触れるだけではなく、中抜きは業務上横領や詐欺罪等に問われてもおかしくない問題であり、二度と繰り返してはならない。
今後は、過去の議論経過も踏まえ、市民の厳しい監視の元、政治資金の取り扱いがなされるよう下記のことを提案する。
申し入れ事項
・政党、政党支部を含め企業団体献金を全面的に禁止すること。
・政党、派閥などから個人に支給される政策活動費を禁止すること。
・政治資金収支報告書は、都道府県選挙管理委員会保管分を含め、全てWEB上で公開すること。
・政治資金収支報告書の保管期間を3年から5年に見直すこと。
・会計責任者が政治資金規正法上の違法行為を行った時に、当該政治団体に関係する政治家にも同様の罰則を適用し連座制にする法改正を行うこと。
・裏金化、中抜きした政治資金については、金額及び使途をすべて公表すること。
以上
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日本のNGOによる要請文
上川 陽子 外務大臣
UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)現地職員の複数名がイスラエル側への攻撃に関与したとされる問題を受け、米国や欧米諸国の決定に追随する形で1月29日、日本政府がUNRWAへの3,500万ドルの追加拠出金を一時停止することが発表されました。私たちは、この決定の即時撤回を要請します。
昨年10月7日以降、約4ヶ月にわたる前例のない規模の空爆および地上侵攻の結果、パレスチナ保健省によると1月29日現在、ガザ地区では26,000人以上が死亡し、65,000人以上が負傷、8千人以上が行方不明となっています。イスラエル軍の通告により、ガザの人口の約80%である170万人以上が強制的に移動させられ、過酷な状況での避難生活を強いられ、食料、水、医薬品などの確保が非常に困難になっており、不衛生な環境下での感染症、飢餓に晒されている現状はまぎれもない人道的大惨事です。
この状況を受け、1月26日にオランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルにジェノサイドを防止するためのすべての措置を講じるよう暫定的措置を命じたことに対して、上川外務大臣がいち早くICJの役割に支持を表明し、暫定措置命令は「誠実に履行されるべきもの」と発表された談話(1月27日)を、私たちは強く支持します。一方、UNRWAへの拠出金停止という決定は、ガザの人びとの生活条件を破壊し、現在求められているジェノサイド防止のためのあらゆる措置に反するものであり、人道的な支援提供を確保するために迅速で効果的な措置をとるよう求めるICJの命令にも明らかに違反しています。
UNRWAはパレスチナ難民支援の中核を担ってきた組織ですが、今回の空爆により、少なくとも152人の職員が亡くなり、145のUNRWAが運営する避難所が攻撃されました。そして現在も155の避難所を運営し、生きるために必要な支援を人々に届けています。UNRWAは、ガザの人々にとって最後の命の砦であり、資金提供を停止することは、すでに危機的状況に置かれたガザの人々の命を奪うことに等しい行為です。
攻撃への関与に関する調査の実施については支持する一方、3万人の職員のうち一部の個人の関与を理由に、ガザの人々全体に対する人道支援継続を危機に陥れることは、国際法違反の集団的懲罰に該当する可能性があります。
私たちは、ガザの一般市民がこれ以上犠牲にならないよう、恒久的な停戦を訴え続けてきました。しかし、4ヶ月が経つ現在も毎日数百人が命を奪われ、そして生存している人々にとっても環境は日に日に過酷になっています。これ以上ガザ地区の一般市民が追い詰められることがあってはなりません。一刻も早くUNRWAへの拠出金の一時停止を撤回してください。
2024年1月31日
特定非営利活動法人国境なき子どもたち
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター
特定非営利活動法人パルシック
特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
中東研究者有志アピール呼びかけ人
この要請文に関する連絡先
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
〒110-8605 東京都台東区上野 5-22-1 東鈴ビル 4F
海外事業グループ パレスチナ事業担当 小林 麗子
Email: r-kobayashi@ngo-jvc.net
有機フッ素化合物の何が問題?
1.永遠の化学物質=有機フッ素化合物(PFAS)→ 資料A(6〜9頁参照)
PFOA デュポンが開発したテフロン加工フライパンなど
映画「DARK WATERS」でその有害性が暴露され、ロバート・ビロット弁護士が裁判提起。?妊娠高血圧症ならびに妊娠高血圧腎症、?精巣がん、?腎細胞がん、?甲状腺疾患、?潰瘍性大腸炎、?高コレストロール、以上が調査によって明らかになった健康被害。「この調査結果報告は、PFOA汚染水を飲んだ住民たち、これら6種の病を発症した人たちに、デュポンを訴えるための回路を開いた。3500以上の訴訟につながり、2017年、デュポンがこれらの解決のために支払った額は6億7070万ドル(724億円)になった」(A17頁)。
国内では、デュポンの清水市(現静岡市清水区)にある工場でテフロンを製造。作業に従事していた労働者や環境への汚染が発覚している。「2000年、デュポンがテナントの飼育していた牛のPFOA中毒を隠蔽すべく奔走していた頃、原因となった物質を製造していた3Mは、突然ある発表(製造中止へ)を行った」(A17頁)
米環境保護庁(EPA)は3Mやデュポンに対して制裁を行い、2006年にはデュポンのほかにダイキンアメリカや旭硝子(現AGC)などに対して「PFOA管理責任計画」下の責任企業とした。2010年までに95%縮減15年までに完全廃絶とされ、代替品開発を促すことになったが、問題解決には至っていない。
PFOS 米軍基地や自衛隊基地からの泡消火剤汚染など
沖縄や首都圏での汚染が確認されているが、米軍基地内でに調査はいまだ実施されていない。詳細は諸永裕司「消された水汚染 『永遠の化学物質』PFOS・PFOAの死角」(平凡社新書)で明らかにされているが、日本政府も東京都も他の地元自治体も、公務員もウソをつく、情報を隠すなど何でもありで、責任逃れを行っている。
何より、日米地位協定(治外法権)が米軍の野放図な環境汚染を許している。
2.被曝の経路(汚染物質)
環境への経路は、「主に?工場、?軍事基地、?ゴミ処理、?排水処理場の4つである。これらの経路を介して土壌、大気、そしてヒトへの曝露の主たる経路、飲料水の取水源に入る。加えて、PFASは食品や食品を包む包装用品、焦げつかない調理器具、化粧品、ウィンター・スポーツ用品、ホコリからも曝露している。あらゆる経路が、私たちの体内のPFAS値を上げているのだ」(A23頁)
下水汚泥を原料とした肥料、人工芝なども汚染源であり、1000年以上も土壌中に残留するとみられているものもある。2005年には北極に棲むホッキョクグマの体からもPFOSが検出されており、製造が終わったとしてもこの永遠の化学物質による地球汚染は核による汚染と同じように続き、終わることはない。
3.国内での汚染の現状
前記?ダイキン工業と?沖縄の米軍基地及び横田基地が明らかな汚染源だが、汚染源が突き止められていない汚染も多い。例えば、岡山県吉備中央町の浄水場から暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)を大幅に上回るPFASを検出、その上流地点で6万2000ナノグラム(目標値の1240倍)を検出した。これは使用済み活性炭の放置による土嚢からの汚染だったことが明らかになっている。
ダイキン工業淀川製作所からの汚染は摂津市で深刻な問題となっているが、摂津市も大阪府も対策を行おうとはしていない。ここからの汚水垂れ流しは淀川から取水している阪神水道企業団を通じて、阪神間の自治体にももたらされている。ちなみにダイキンアメリカはテネシー川を汚染し、400万ドル(4億3000万円)の賠償を支払うことで訴訟和解している。
これよりひどい土壌汚染が「摂津市から東淀川区にかけて土壌汚染は現在も残っており、そこから漏出するPFOAにより、汚染は今後も続くと考えられる。この観点から、水道水を供給する大阪府をはじめとする自治体は、利用者にPFOAの除去費用を負担させるのではなく、ダイキン工業に請求すべきであると考える。あるいは、ダイキン工業は、自ら申告し、社会的責任を果たすべきではないだろうか」(A49頁)。こうした二重基準は米軍も同様で、本国では汚染除去を行っているが、日本では隠蔽し放置している。
4.兵庫県内、西宮市における汚染の現状
まとまったものとしては、「週刊金曜日」(2023年9月8日)が近畿2府4県の汚染実態を報じており、兵庫県内では阪神水道企業団以外からの汚染も確認されている。丸尾牧県議が調査によって明石川周辺(神戸市西区)の井戸水4ヶ所から74〜130ナノグラムの汚染を確認、昨年11月12日に神戸市に対策を講じるよう申し入れた。西宮市では、鳴尾浄水場系で阪水からより高い汚染が確認されている。
5.法的規制はどうなっている
法的規制をみると、米EPAが2016年に飲み水1リットル中PFOSとPFOAの合計で70ナノグラムとする生涯健康勧告値を設けた。これに追随するように厚生省が50ナノグラムの暫定目標値を設けたが、これは法的拘束力のない目標にすぎない。一方、世界の基準値は年々厳しくなっており、22年にはEPAが生涯健康勧告値を0・004ナノグラムまで下げた。
そうしたなかで、自治体の上水供給では今も50ナノグラムを指針としているだけで、政府も拘束力のある法的規制は行っていない。米軍横田基地周辺では地下水脈の汚染も懸念され、ひそかに取水停止などを行っている。
こうした糊塗策による責任逃れを許さず、確実な法的規制の実施し、米軍基地による汚染は責任を取らせなければならない。そのためにもすべての情報の開示を前提とした調査を行い、汚染の実態を明らかにしなければならない。
なお、米国では4ナノグラムが基準として示されるようである。
*資料A:岩波ブックレットNo.1030「永遠の化学物質 水のPFAS汚染」
資料B:諸永裕司「消された水汚染 『永遠の化学物質』PFOS・PFORの死角」(平凡社新書)
*米軍横田基地による汚染と、行政の無責任対応を追及した労作
市民オンブズ西宮「有機フッ素化合物の何が問題?」学習会!
日時 2024年1月13日(土)午後2時〜4時半
会場 西宮市市民交流センターC会議室(阪急「西宮北口」南・東へ5分)
*1月定例会は環境汚染物質として注目されているPFASを取り上げ、健康への影響や汚染の広がりについて検討します。西宮市内でも汚染は確認されており、どのような取り組みが必要なのか、市に対しての働きかけなども含め考えてみたいと思いますので、ぜひご参加ください。
参考文献
「永遠の化学物質 水のPFAS汚染」(岩波ブックレットNo.1030)
諸永裕司「消された水汚染 『永遠の化学物質』PFOS・PFOAの死角」(平凡社新書)
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ポスター代 総額 所属
大迫純司郎 589,840円 843,746円 会派・ぜんしん
多田 裕 582,248円 842,985円 日本維新の会
大堀耕太郎 589,840円 832,656円
無所属 (落選)
濱口 仁士 582,248円 831,946円 日本維新の会
服部芽久美 584,584円 831,760円
市民生活を守る会(落選)
中尾 孝夫 589,840円 826,927円 市民クラブ
有銘 興平 582,248円 821,358円 日本維新の会
渡邉謙二郎 582,248円 820,068円 日本維新の会
田中 昭代 578,160円 817,689円 市民クラブ
前田 周嗣 578,160円 815,404円 日本維新の会
江良健太郎 573,663円 810,928円 日本維新の会
林 幸子 582,656円 804,856円
無所属 (落選)
大石 伸雄 589,840円 803,460円
自民党 (落選)
*80万円以上の公費支出、13人でした。
*公費負担の上限額
(自動車)運送 64,500円×7日間=451,500円
借上 16,100円×7日間=112,700円
燃料 7,700円×7日間= 53,900円
(ポスター) 1010円×584ヶ所=589,840円
(ビラ) 7円73銭×4,000枚= 30,920円
上限総額 1,238,860円
*維新候補10人(落選1)公費支出総額7,491,978円
従ってひとり約75万円の公費支出なる。これが「身を切る改革」の維新の実態。
西宮市議会議長 山田ますと様
2023年12月4日 市民オンブズ西宮
代表世話人 折口晴夫
大石伸雄前市議の政務活動費支出に関しては、かねてより疑問点が多くありました。とりわけ、日本防災士会の役職者にあった時期の支出は、防災士会からの費用支出があったのではないか、政務活動費支出との2重取りがあったのではないかと推測していました。この疑惑の関連で今般、防災士会関係者から西宮市議会事務局への情報提供があったと聞き及んでいます。
さて、西宮市議会政務活動費の交付に関する条例第11条には、「議長は、第8条第1項の規定により提出された収支報告書について必要に応じて調査を行う等、政務活動費の適正な運用を期すとともに、使途の透明性の確保に努めるものとする。」とされています。この規定は大変重要なものであり、政務活動費支出の適正化に関する議長責任を明記したものです。
当会は長年、政務活動費支出の透明化、適正化を求めて活動を行ってきており、この規定が新設されたことを歓迎しました。つきましては、この規定が実質的な効力を発揮するよう、議長の御尽力を求めます。今般の大石前市議の疑惑解明はその試金石になるるものと期待しています。
差し当たって一例をあげるなら、2022年10月28日の「海上自衛隊護衛艦隊司令部における研修会開催調査」(調査・研究費)30,540円の支出は防災士会関係業務でした。これに限らず、防災士会関係の催しに関する支出には多くの2重取りが行われているものと推測できます。
以上の経緯から、次の事項の申し入れを行います。
記
1.日本防災士会への照会、資料提供を求め、疑惑解明を行うこと。
2.大石前市議が防災士会役職にあった全時期の政務活動費支出を点検すること。
3.調査によって明らかになった2重取り支出の返還を求めること。
以上
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9月23・24日、全国市民オンブズマン30回大会が仙台で開催されました。第1回が仙台、そして10回と30回、三度目の仙台市での開催でした。
文字通り、仙台の弁護士さんたちが先頭になって広めてきた活動でした。30回大会記念の座談会「市民オンブズマンと情報公開30年」があり、そういうこともあったと懐かしくなりました。
官官接待や北海道警察の裏金問題の追及をはじめとした内部告発が活発となり、全国でオンブズマン活動が盛り上がりました。官官接待では地方自治体への情報公開請求によって、全国の自治体で慣例として行われていたのです。公費(食糧費)の不正支出は全国で年間300億円にも上り、それを捻出するためにカラ出張などの帳簿操作が行われていたことが明らかになりました。
兵庫県におけるオンブズマン活動もこの官官接待(職員による公費での飲食)の告発、訴訟提起から始まっています。私が参加している市民オンブズ西宮の結成は2001年6月、武庫川ダム建設計画や立体交差による阪急甲陽線一部地下化問題、住民基本台帳ネットワークシステムの稼働などが課題となっていました。武庫川ダム建設と立体交差による甲陽線地下化は、多くの市民団体の力で撤回となりました。武庫川ではダムではなく、総合治水対策が取り組まれています。
また、住基ネットでは全国で違憲訴訟が取り組まれ、住基カードは普及することなく消え去りました。そのリベンジとして政府が考え出したのが個人情報システム、マイナカードという?国内パスポート?です。しかし、これも普及することなく終わりそうだったところ、マイナポイントの付与で利益誘導し、それでもだめならと保険証の廃止で鞭打とうとしています。何とも悪意に満ちた政治です。
西宮市に対する取り組みとしては、市職員自治振興会補助金不正流用や市議会政務活動費(政務調査費)違法支出に対する追及などがありました。どちらも返還請求の住民監査請求・住民訴訟によって成果をあげてきました。自治振興会訴訟では約8000万円返還の判決が確定し、最終的に自治振興会(職員互助会的組織です)は西宮市に5億円近い金額を返還しました。
政活費訴訟では、数度の裁判を経て使い放題だった状態は大きく改善され、交付額も月額15万円から12万円へと減額となりました。領収書等のネット公開も勝ち取り、情報公開度ランキングも中核市で6位となっています。ちなみに、兵庫県議会は都道府県で1位、号泣議員の一件後に公開が進んだ結果です。
政務活動費情報公開度ランキング(都道府県)
1位:兵庫県・奈良県 97点 3位:大阪府・京都府・鳥取県 92点 最下位:岡山県 10点 46位:香川県 12点 45位:和歌山県 18点
*西宮市は中核市で6位・95点、1位は函館市で何と100点です。
DXってなんだ?
今年の全国大会のスローガンはDX(デジタルトランスフォーメーション)を問うものでした。だけど、「自治体デジタル・トランスインフォーメーション(DX)推進計画」って本当になにかよくわかりません。解説では、?自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して、住民の利便性を向上させる。?デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていく、ということのようです。
現実はどうでしょう。デジタルを振り回すことで、むしろ混乱がもたらされています。マイナ保険証の混乱で破綻に瀕する皆保険制度をみればわかる通りです。アメとムチによるマイナカード普及策、これは個人情報を収集・活用しようというものであり、?住民の利便性向上?とは無縁です。利便性というなら、廃止されようとしている紙の保険証が最も便利です。
むしろ問題は、行政=政府の、立法=政治家の情報が隠され、これを司法=裁判所がお墨付きを与えていることです。闇に隠されている不都合な情報がデジタルで公開されるなら、どれほど政治的汚濁(悪事)が正されることか。全国大会では、進まない自治体デジタル情報公開度を取り上げています。
自治体における情報公開制度の重要性はあまり知られていませんが、行政や議会のチェックには欠かせない制度です。西宮でも委員会はまだですが、市議会本会議は傍聴できなくてもネットで録画を見ることができます。政務活動費支出もネットでチェックできるようになっており、コピーでの公開だったときは5000枚の情報公開に5万円かかりました。
いまでもコピーの公開は1枚10円ですが、CD−Rなら未使用のものと交換できます。もっと進んでいる自治体では、メールで公開も行われています。行政文書としてあるものは、行政施策の計画過程なども知ることが出来ます。一方で自治体も隠したい情報はあれこれの理由、例えば会議録の公開が「率直な意見の交換、意思決定の中立性が不当に損なわれる恐れ」何ていうこじつけで非公開としたりしています。
現状について、大会は次のような評価を行っています。「情報公開の分野のDX化の動きは、極めて鈍い」として、「情報公開制度のDX化により、行政情報の開示がメールや電子申請によって容易に行え、デジタル情報として安価にメールで開示されるようになると、市民の間での情報の共有化が進み、情報公開制度が政治参加や行政監視のための新たな局面を切り拓いていくことが期待できる」と結んでいます。(折口晴夫)
マイナ保険証分科会
マイナひも付けで間違い続出、窓口で顔認証できない、暗証番号わからない、何割負担かでも間違い、マイナ保険証は前途多難といったところです。マイナ保険証の利用率は厚労省発表によると、9月の利用率は4・5%でした。8月の4・7%から微減で、5ヶ月連続の低下となっています。
そこで考え出されたのが、マイナ保険証「一度使って」キャンペーン。これほど情けない現状で、紙の保険証をなくすというのは自殺行為です。武見敬三厚労相(医師会のボスだった武見太郎の息子)は次のように語っています。
「利用促進は喫緊の課題だ。自ら先頭に立ち、医療関係者らと連携し、国民に一度は使ってもらえるよう、様々な取り組みを行う」(神戸新聞・閣僚に聞く)なんて。
ひも付け間違いは同姓同名などで起きているようですが、それは漢字の読み仮名に問題があります。分科会の講師は今田さんでしたが、読みは「こんた」が正しいが「こんだ」と名乗っているそうです。しかし、普通には「いまだ」と読むでしょう。この混乱をどうするか、6月に可決されたマイナ束ね法案に「『戸籍等の記載事項への氏名の振り仮名』の追加」がありました。これで読みを間違うことはなくなるというわけですが、いっそ戸籍など廃止したらいいのではと思うのは私だけでしょうか。
政府がめざしているのはSociety5.0(経団連による)の医療版(医療DX)というものらしいのですが、要は医療機関から医療情報を集めて「匿名加工医療情報」(ビッグデータ?)を提供する。それによって、医療を標準化するということか。内閣府 科学技術・イノベーション推進局は次のようにな分析を行ってます。
「医療デジタルツインの市場は、2021年時点のグローバルで約3兆円、国内で2000億円程度と推計される。グローバル市場では、今後5年間で年率30%越えの市場成長が見込まれる」 *デジタルツインとは「現実世界(物理空間)の情報をデジタル化し、仮想空間(デジタル空間)上に再現したモデル」だそうですが、よくわかりません。
これに乗り遅れるな、「2033年時点で数千億円の国内市場を創出する。国内で成長した日本の事業者は、海外主要市場においても競争力を獲得する」という皮算用のようです。何のことはない、マイナ保険証で医療情報を集めて儲けよう、個人のプライバシーなんか気にしていたら競争に勝てない、利用すればいいという発想です。
分科会担当の清水勉弁護士は、まとめとして「マイナ保険証がないと医療を受けられないという仕組み、これまでの健康保険証が使えない」ことが問題だとし、カードは申請主義、「持たない」(申請しない)ことが最善策だと指摘しました。
カードの有効期限は18歳以上は10年、未満は5年、期限が来たら申請しなければならない。さらに、電子証明書の有効期限は5年、更新を忘れたらマイナ保険は使えなくなる。紛失したら再発行料1000円、その間は使えない。実に不都合なことだらけ、医療機関で顔認証できなければ途方に暮れる。万事休す・・・(晴)
9月末のマイナンバーカード普及率!
有効申請受付数(10月1日時点累計)98,269,874 約78.4%
交付枚数(10月1日時点累計) 96,319,099 約76.8%
保有枚数(9月30日時点) 90,915,526 約72.5%
最後の数字が実際に機能している保有数ですが、交付申請との差が約735万件もあります。実際のところ、持っていても何も機能していない場合もあるし、実際にマイナ保険証の利用率は5%にも満たないのが実情です。ちなみに、兵庫県の人口に対するマイナカード保有数率は74・2%、西宮市は73・0%、35万2604枚。
政務活動費分科会報告
30回を記念するオンブズマン大会で、創始者とされる仙台オンブズマンで活動された方々による座談会が行われた。北海道警察の裏金問題 など、内部告発から発覚した不正に対する怒りがさらに運動を活発化したことなど、当時を振り返る話で会場は盛り上がった。
活動を続けてきた原点は、情報公開によって得られた事実をもとに議論をし、仲間と一緒に楽しんで活動をすること。特に飲み会や食事会での交流が次への活動へと繋げて行ったという。大会での新しい取り組みに学ぶことがあった。
分科会は政務活動費に参加、参加者は司会を含めても12〜3人という少なさだった。報告は、名古屋の新海氏からで、オンブズ活動が裁判に重点をおいている現状から、裁判ではないやり方で成果を得る方法を提起したいとのことだった。専門的な知識を必要としなくても、市民が情報を得る手段を作ること。つまり、地域に活動を広げるということだ。そのためにも実際、2001年からNPO法人・情報公開市民センターを作り、国や自治体の情報を公開させるための活動を始めているが、さらに本格的に「認定NPO法人」を目指す。
さらに、議会のウオッチングで、発言回数のチェックをし、議員の一般質問の内容を批判ばかりでなく、少しでも良かったら誉めること。視察の金額も問題だが、視察報告で何が役立ったのかを議員に直接聞くなど関係を持つことから、意識改革を促す。豊田市では、群馬まで美術館を見学に行った。その目的は、校庭の芝生を視察と誤魔化したが、オンブズからなぜ群馬まで行って芝生の見学かと指摘され、地元校庭での芝生化を実現してしまった例が紹介された。
また、マスコミへの働きかけも課題だが、マスコミ自身がオンブズに情報を求めており、何が問題なのかを知りたがっている。オンブズの活動が注目されていることを意識し、そもそも政務活動費とは何かの原点にたち、不正を正していくべき。
各地の報告では、政務活動費の報告書が議会会派でされている名古屋市、川崎市では、個人名を分からなくしている。個人の領収書も出されているが、その集計は困難な状態。山形では、裁判中に議員が亡くなり、判決時には過去の問題として取り扱われてしまう。仙台では、2012年に提訴したものが今年にやっと判決が出る。
西宮市での本人訴訟の例を紹介。弁護士でなく一般市民が行うことの意義が意見として出る。裁判官も市民に向けて裁判進行で、丁寧に分かりやすくなり、良いことだと、市民感覚の本人訴訟が評価された。これまでの全国オンブズマンで、取り組んだ裁判結果の一覧表作りが課題になった。 (折口恵子)
個人情報保護・情報公開分科会
ないがしろにされた個人情報保護条例!
ことの発端は2021年5月12日、参院でデジタル改革関連6法案が可決・成立し、自治体による個人情報保護条例の運用を踏みにじる仕組みがつくられました。これによって、22年度末の23年3月市議会での?改正?を求められたのです。
その経緯や現状について、神奈川県弁護士会の森田明さんからの報告が行われました。国にとっては自治体ごとの個人情報保護条例の規程・運用の相違がデータ流通の支障があるとし、使い勝手がよくなるように条例の画一化を目指したものでした。これに反対する日弁連は21年11月、反対の意見書を公表しています。
「改正法においても、地方公共団体の条例により定めることができる事項が認められているが、それ以外の多くの事項について、地方公共団体が個人情報保護条例により独自の施策を実施することに対して、後述のとおり、国の個人情報保護委員会は否定的な解釈を表明している」
森田さんは原則として、?国と自治体は上下関係ではなく対等である。?自治体には条例制定権がある。なのに、個人情報保護委員会が法解釈は委員会が行うとして自治体の自主性を否定していることが問題だと指摘しました。そして、この間の自治体の動きをみていると、残念ながら委員会の法解釈に従属した条例?改正?が行われてしまった、と批判しています。
具体的事例として、自治体が設置している個人情報保護審議会が条例改正に関して国の圧力は不当、条例を国の?個人情報の利活用にとって邪魔な条例はなくせ?という指示に従うべきではないとの判断を示した事例が紹介されました。その結果は、自治体は国に伺いを立てるようなかたちで条例改正を行ってしまっています。
これを住基ネット導入時と比べてみると、自治体の責任で行う自治事務として、首長が導入しないと判断、国に抵抗した自治体がありました。今回は法定受託事務ということで唯々諾々と従ってしまい、地方自治の形骸化が一層進んでしまったと森田氏は嘆いていました。(晴)
《法定受託事務》
ネット検索すると、「地方自治法に定める地方公共団体の事務区分のひとつで、国または都道府県が本来果たすべき役割に係るものであって法令で特に定められた。地方分権一括法により機関委任事務及びその他従来からの事務区分は廃止され、かわって地方公共団体の事務は法定受託事務と自治事務に再編成された。法定受託事務には自治事務に比して国や都道府県の強力な関与の仕組みが設けられていますが、自治事務と同様に地方公共団体の事務であり、・・・」だそうです。
沖縄の辺野古軍事基地建設をめぐって、沖縄の人々の思いを受け玉城デニー知事が建設反対で頑張っていますが、強制代執行が強行されようとしています。この代執行とは何か、「都道府県が国の代わりに行う『法定受託事務』において、知事に法令違反などが確認された場合、担当大臣(今回の場合は国土交通相)が代わって事務手続きを行うことができる権限を指す」とあります。
こうした仕組みがつくられ、市民自治などたやすく踏みにじられ続けています。そうした今だからこそ主権者として声をあげ、市民自治を実現しようという活動が求められています。 (晴)
仙台市博物館敷地内にある魯迅像!
オンブズマンの全国大会は国内各地で開催されるので、私も北は函館から南は別府まで旅行する機会を得て、大いに?見聞?を広めてきました。仙台弁護士会館は青葉通り沿いにあり、その先に広瀬川がありました。橋を渡って右岸に仙台博物館(残念ながら休館中でした)、その庭園(山の上に仙台城址がある)に魯迅像と碑、さらにに盧溝橋事件30周年記念「日中不再戦の植樹」もあり、碑の題字は郭沫若氏が揮ごうしたとありました。ちなみに、ウィキペディアには下記のような解説が記載されています。
《魯迅は、1904年(明治37年)9月から1906年(明治39年)3月までの約1年半しか仙台にいなかったが、仙台市や東北大学では、様々な面で魯迅を通じた交流を中国と行っている。中国人にとっては、東北大学・片平キャンパスにある(旧)仙台医専の「階段教室」がよく知られており、1998年(平成10年)11月29日には江沢民・中国共産党中央委員会総書記も訪問している。訪問した中国人は、魯迅がいつも座っていたとされる同教室の中央帯、前から3番目の右端近くでの記念撮影をしている。その他、同キャンパス内に「魯迅先生像」(1992年10月19日設置)、仙台城三の丸の仙台市博物館敷地内に「魯迅の碑」(1960年12月設置)と「魯迅像」(2001年設置)がある。また、「魯迅旧居」が片平キャンパス正門近くにあったが、2019年5月に解体され石碑のみが残る》(晴)
健康保険証の存続を求める請願否決される!
9月市議会最終日の10月3日、3件の請願が採決され、「義務教育費国庫負担制度堅持についての請願」(請願4号)は採択されたが、「インボイス制度の中止・延期を求める意見書を国に提出することを求める請願」(請願2号)と「『健康保険証の存続を求める意見書』提出を求める請願」(請願3号)の両請願は否決された。
否決された両請願の賛否は、6月議会で否決された請願1号「国に対し『再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める意見書』の提出を求める請願」(紹介議員:よつや薫・野口あけみ)とほぼ同じ構図となった。賛成は市民クラブと共産党、及び一色風子・佐野ひろみ・牧みゆきの無所属議員です。反対は日本維新の会、公明党、ぜんしん、政新会(自民党)、及び川村よしと・松本たかゆき・森けんとの無所属議員だった。
ときあたかも袴田巌さんの再審公判が進行し、報道はこぞって再審法の不備が袴田さんを長く死刑囚として苦しめてきたこと、冤罪をなくすために再審法改正が急がれると報じている。この期に及んでもまだ、小泉龍司法相は官僚作成のたわ言を繰り返して恥じない。この点は、請願1号に反対した見識のない議員たちも同類だ。
「直ちに手当てが必要な不備があるとは認識していない。制度の在り方は、様々な角度から慎重に検討すべきだ」(神戸新聞・閣僚に聞く)ととぼけた発言。
請願1号の請願事項は、?再審における検察の手持ちの証拠のすべてを開示する。?再審開始決定に対する検察の「不服申し立て」の禁止を制度化する。この2点は再審規定の?不備?を正すものであり、もはや?慎重に検討?することなど何もない。マイナ保険証の無残な現実も目にしながら、西宮市議会の多数派議員の体たらくは耐えがたい腐臭を放っている。 (晴)
請願第3号(2023年9月6日)
「健康保険証の存続を求める意見書」提出を求める請願
紹介議員 村上 ひろし 佐野 ひろみ 庄本 けんじ よ つや 薫
請願趣旨
市民のいのちと健康をまもるためにご奮闘いただいていることに敬意を表します。
昨今、医療DXの一環としてマイナンバーカードに健康保険証を付帯させる、いわゆる「マイナ保険証」の計画が進んでいます。そのためにマイナンバーカードの普及は進み、国民の7割超が取得していると聞いています。国民の健康情報を安全にデジタルデータ化することで災害時でも安定して利用できることは今後の健康福祉行政として理解できます。
しかしながら、マイナンバーカード取得は「任意」とされているにもかかわらず、健康保険証と一体化させることは、マイナンバーカードの利用を事実上強制することになります。また、現行の健康保険証を廃止して、マイナ保険証のみとする現在の政策は以下の点で問題があります。
?現状としてマイナ保険証利用割合は2%前後にとどまっている。
?マイナ保険証は、現行の保険証と異なり表書きがないため、読み取り機での対応が必須だが、読み取りができないなどのトラブル発生時には日常診療に支障をきたす。また、マイナンバーカードの誤交付や別人への紐づけなどにより、生命や個人情報に関わる問題が起こっている。
?幼児・子どもや障害者などの場合、マイナ保険証の顔認証やパスワード認証などに無理があり、そもそも諸外国では成人になるまでのIDカード発行はしていない。
?マイナンバーカードを取得していない人には「資格確認書」を新たに作成するとしているが、さらに新たな費用が発生するばかりか、そうであれば従来の健康保険証を廃止する理由が不明となる。
以上のことから、患者の命と健康を守る保険医の立場として、下記事項を内容とする意見書を国に提出するよう請願いたします。
請願事項
1 現行の健康保険証の廃止方針は中止を含め見直すこと。
請願者 兵庫県保険医協会 西宮・芦屋支部長 法貴皮膚科院長 法貴 憲
アスベスト汚染による中皮腫、県内死者全国で3番目!
10月23日付けの「神戸新聞」によると、兵庫県内の中皮腫による死者が全国で3番目に多いと報じています。「厚生労働省によると2022年に全国で1554人が亡くなり、都道府県別で兵庫県は120人と、大阪府、東京都に次いで」多い。
下記は「アスベスト根絶ネットワーク通信」31号(1995・5・22)、震災当時大量のアスベストが飛散したことを示しています。今日においても、建築物の解体によるアスベスト飛散が続いています。飛散を防ぐための対策には解体費用がかさむとして行われる安易な解体に対して、市による監視体制強化が求められます。(晴)
編集後記
2年を経過した岸田文雄自公政権、ほぼ与党の維新と国民民主に助けられ大軍拡と原発延命を進めています。このままでは、この国の明日は危ういというほかありません。地域から、自治体から、戦争への暴走を止めたいものです。(晴)
2023年9月23日から24日にかけて、全国市民オンブズマン仙台大会を開催 した。30回の節目を迎えた大会で、私たちは「DX って何だ?退化する情報公開」 というメインテーマを掲げ、総務省が進める自治体 DX 推進計画の一方で、情報 公開制度がどのように扱われているかを調査した。ところが、多くの自治体では 情報公開の利便性は限定的で、かえって自治体情報のデジタル化を契機として、 利用者にコストを付加する自治体も現れた。こうした動きは情報公開請求に受益 者負担の発想をもちこむものであり、民主主義のために必要不可欠な情報公開 の理念に逆行する。
また、今回調査した権利濫用条項は、自治体によって基準や手続が整備され ていない実情も明らかになった。これが情報公開における受益者負担の発想と つながるとき、情報公開そのものが否定されるおそれを指摘した。
一方で、市民に対する情報公開がもっとも遅れている政務活動費について、今 年も全国で不正支出が相次いだ。「情報が公開されない公金支出に腐敗あり」と いう事実は、私たちの発足当時から30回の大会を経ても真実でありつづけてい る。私たちはあらためて政務活動費の使途について監視を続けていかなければ ならないことを確認した。
さらに、今大会では、マイナ保険証の問題点について議論した。長年培われた 地域医療の実情を無視した、実情に合わない不便なデジタル化の強制という時 代錯誤の政策が、地域医療の崩壊と、住民に大混乱をもたらしていることが報告 された。
30回を記念する今大会の座談会で、情報公開によって得られた事実をもとに 議論をすること、仲間と一緒に楽しんで活動することが市民オンブズマンの核で あることを確認した。そのうえで、情報公開制度の真のデジタル化が、市民によ るデータベースの構築を促し、これを市民による行政監視の大きな武器とする将 来への展望をもち、以下のとおり宣言する。
記
1.市民が使いやすい情報公開制度のデジタル化を進めさせること
2.権利としての情報公開を実現させるため、情報公開請求に対する受益者負 担の導入を監視すること
3.情報公開請求の権利濫用が「濫用」されることがないよう、監視を続けること
4.現行の健康保険証を維持することを前提に、マイナ保険証一本化の見直しを 求めること
5.市民オンブズマン活動で培った知識・経験・情熱を次世代や地域に広げてい くこと
以上
]]>6月市議会、再審法の改正を求める請願再び否決!
市議選を経て、市議会も少しはまともになったか思われましたが、再審法の改正を求める意見書の提出を求める請願が、前回と同じ賛否で否決されました。この間の情勢の変化、袴田事件の再審開始が決定し、連日マスコミが報じています。しかも、その論調は再審請求に関する法が整備されていないというものです。
請願が求めているのも同じ内容の法整備なのに、反対した会派の議員は内容に立ち入ることなく、ただ反対のために反対しているようにみえます。この変わらない市議会を変えるために、どのような働きかけが必要なのか、知恵を出し合いたいと思っています。 (晴)
請願第1号 2023年6月22日
国に対し「再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める意見書」の提出を求める請願
紹介議員 よつや 薫
野口 あけみ
請願趣旨
ひとたび確定した判決であっても、もし冤罪の恐れがあるならば、人道的観点から、あるいは基本的人権尊重の趣旨から、できる限り刑事司法制度の中で救済の道を開くことが必要です。
とりわけ、冤罪の可能性があるにもかかわらず、取返しのつかない死刑という極刑が確定してしまった場合には、確実にすみやかな再審の道が用意されなければなりません。
長年にわたり、冤罪を指摘されていた袴田事件では、本年3月、東京高等裁判所が再審、裁判のやり直しを認める決定をしました。決定では、有罪の根拠とされた証拠について「捜査機関が隠した可能性が極めて高い」とし?捏造?の疑いにまで言及しました。先立つ2014年に静岡地裁が再審開始を決定、袴田巌さんは釈放されました。判決は、国家機関が無実の個人を陥れ、45年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり、これ以上袴田さんの拘置を続けるのは耐え難いほど正義に反する状況にある、とまで指摘しています。
これを不服とした検察が東京高裁に抗告したために再審実現は今日まで9年もの無駄な時間を費やしてしまいました。再審開始への道が開けたのは、検察が特別抗告を断念したからにすぎません。今も?死刑囚?の汚名を着せられたままの袴田さんは、死刑執行におびえる長い月日を耐えるために自らの内なる世界を形成しています。
日本の再審制度は、「間違った裁判をやり直してほしい」という再審請求手続きと、実際にそれを受けておこなわれる再審公判手続きという二段階の制度の組み立てになっています。
しかし多くの場合、再審開始決定が出されても、検察がこれを認めず不服申立て(抗告)をして争うという対応をしています。そのため、再審にたどり着くまでに長い年月がかかり、その陰で冤罪に泣いた多くの無実の方々が存在しています。
だから、再審の条件をいたずらに厳格かつ形式的に解し、再審の道を閉ざすことがあってはならないと考えます。無辜の人を決して罰してならないとする再審制度の趣旨をくまず、機械的に再審を拒むとするならば、再審制度の存在意義は失われます。
現在の再審制度は刑事訴訟法「第4編 再審」のみで、極めて大ざっぱな規定です。
無辜の市民の訴えである再審の道をむつかしくしている点は次の2点です。
?捜査段階で集めた証拠が開示されないことです。全ての証拠を隠すことなく弁護団の開示請求に応じ、真実解明に役立てるべきです。?検察官の抗告権です。都合の悪い証拠を隠して置きながら、裁判所が再審開始決定を出しても従わず、即時抗告、特別抗告をおこない、裁判を長期化させ、場合によっては、存命中に再審開始に至ることができない事態にもなり、人道的観点からも許されません。
以上の趣旨をふまえ、国に対して下記の項目の意見書を採択してください。
請願事項
現行の「刑事訴訟法の再審規定」について次の2点に留意した改正を求める意見書を国に提出すること。
1 再審における検察の手持ち証拠のすべての開示を制度化する。
2 再審開始決定に対する検察の「不服申し立て」の禁止を制度化する。
請願者 西宮市冤罪犠牲者の再審を求める市民の会
代表 村上 啓子
賛成 市民クラブ 日本共産党 無所属:一色風子 佐野ひろみ 村上ひろし
反対 無所属:川村よしと・牧みゆき・松本たかゆき
日本維新の会:多田裕・江良健太郎・浜口ひとし・渡辺けんじろう・森けんと・ありめこうへい・今泉ゆうた・前島のぶなが・前田しゅうじ
公明党:大河原成彦・大原智・松山かつのり・しげひさ大学・山口まゆみ
ぜんしん:草加智清・八木米太郎・澁谷祐介・菅野雅一・おおさこ純司郎・たかのしん
議長:山田ますと(公明党)
─────────────────────────────────
上程中の請願第1号・よつや薫市議による意見表明
国に対し「再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める意見書」の提出を求める請願について、賛成の立場から、また、紹介議員の一人として、意見をのべます。
本請願の請願者は、請願趣旨の中で、まず、長年にわたり、冤罪を指摘されていた袴田事件を例にあげ、本年3月、東京高等裁判所がようやく、再審、そして、裁判のやり直しを認める決定をしたことに触れておられます。決定では、有罪の根拠とされた証拠について「捜査機関が隠した可能性が極めて高い」とし?捏造?の疑いにまで東京高裁は言及しています。
そもそも、1966年6月に起きた事件であり、死刑判決が確定した翌年、1981年から、再審請求をしつづけて、ようやく2014年3月、 静岡地裁が再審開始と、袴田さんの死刑及び拘置の執行停止を決定。袴田さんは、同日午後に東京拘置所から釈放されたのでした。しかし、静岡地検は東京高裁に拘置停止について抗告を申し立てています。しかし、東京高裁は、拘置停止決定を支持し抗告を棄却。同年3月31日、静岡地検は、再審開始を認めた静岡地裁の決定を不服として即時抗告をおこってしまい、静岡地裁の決定から本年3月の東京高裁の今回の決定まで、実にまたも9年もの歳月を費やすことになったのでした。
このように、犯罪に関わっていない無辜の市民が無実の罪で収監され、有罪が確定してしまったのち、無罪を求めて再審という制度が刑事訴訟法にはおかれています。しかし、再審の扉がひらかれるには、長い年月がかかり、いまだに認めらないという例は、袴田事件だけでなく大崎事件や名張葡萄酒事件など少なくありません。
この、無辜の市民の訴えである再審の道をむつかしくしている点は次の2点である、と請願趣旨はふれています。
?捜査段階で集めた証拠が開示されないことです。全ての証拠を隠すことなく弁護団 の開示請求に応じ、真実解明に役立てるべきです。
?検察官の抗告権です。都合の悪い証拠を隠しておきながら、裁判所が再審開始決定 を出しても従わず、即時抗告、特別抗告をおこない、裁判を長期化させ、場合によ っては、存命中に再審開始に至ることができない事態にもなり、人道的観点からも 許されません。
以上の趣旨をふまえ、国に対して下記の項目の意見書を採択してくださいという、請願事項は、現行の「刑事訴訟法の再審規定」について次の2点に留意した改正を求める意見書を国に提出すること。
1 再審における検察の手持ち証拠のすべての開示を制度化する。
2 再審開始決定に対する検察の「不服申し立て」の禁止を制度化する。
というものでありました。
本請願の委員会審議をおこなった、さる、6月29日の総務常任委員会では、本請願に対する、賛成は日本共産党西宮市会議員団と市民クラブそして、無所属のよつや薫ということで賛成3、反対4の僅差で不採択という結果でありました。
反対の委員からもいくつかご意見がありました。
そのうち、ある委員の「再審請求の段階で、抗告を認める必要性がないという意見がある反面、違法不当な再審開始決定があった場合に、法的安定性の見地から、これを是正するために検察官抗告を行う必要性は高く」という意見があるという、意見がありました。私は、少なからず、耳を疑いました。
再審請求自体が認められにくい現状の硬直した刑事司法制度の状況をさんざん述べている中にあって、この「違法不当な再審開始決定」などがありうるのだろうか、また、過去にあったのだろうか、という疑問です。
その「違法不当な再審開始決定があった場合に、法的安定性の見地から」という意見を一体だれが述べているのか、当該委員は、他の委員から「法の専門家」とも言われておりましたが、法の専門家であるなら、反対意見の出所を明らかにされるべきですが、それは、委員会では全くなされませんでした。出所不明の意見でありました。
改めて後日しらべましたところ、法務省のホームページ、法務大臣の本年3月22日の記者会見、これは、袴田巌さんの再審請求がようやく認められた直後の法務大臣の記者会見ですが、その記者会見の中で全く同じ文章がありました。
そして、改めて、当該委員の前後の意見を正確を期すために、29日の常任委員会での録音を議会事務局で確認いたしました。
当該委員が述べた文章には、また、「再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けること自体が困難である」というフレーズ、これも一つの意見として触れられていました。しかし、その全く同じフレーズが、やはり、3月22日の法務大臣の記者会見の言葉の中に「再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けること自体が困難であるとか」云々というくだりに、ありました。
もし、法務大臣の言葉をそのままコピーして、反対意見に入れていたのだとすれば、唖然とするほかありません。
いうまでもなく、本請願は、国に対して意見書の提出を求めるというものであり、採択されれば、衆参両院議長および内閣総理大臣、そして、担当大臣に提出される意見書となるのが通例です。
この場合の担当大臣は、当然、法務大臣であります。その法務大臣の言葉をそのまま引用して、いわば法務大臣がこう述べているから、法務大臣に提出する意見書には反対します、というのも同然の反対意見ではないかという疑惑です。
また、当該委員は、本請願について「刑事司法に精通していると言えない地方議会の判断事項になじまない」とまで、反対意見の中で述べてはりました。これまで、地方議会である西宮市議会でも、様々な意見書が出されました。中には、法律の改正に関わるものもありました。今回の同じ趣旨の請願は、すでに全国127の自治体で採択されています。その点も、請願者の意見として、委員会で指摘しております。どの自治体にも刑事司法に精通している議員がいないのは当然であります。請願審査を抑制するかのような論調は、そもそも法務大臣の意見からだったのでしょうか。
そうであるなら、なにより、刑事司法に必ずしも精通しているとは考えにくい元通産官僚の現在の法務大臣の言葉を引用しながら、どうしてこういう論理になるのか非常に疑問が重なります。
請願者は法曹三者の一翼である、日本弁護士連合会、日弁連の決議文などを参考に、客観的な資料を添えて本請願を出されました。
その請願に対して、もし、その法務大臣の言葉を借りて、反対意見を、仮に述べていたのだとすれば、請願者の真摯な思いを込めた請願の請願権を傷つけるだけではなく、意見書提出さきの法務大臣の言葉をかりた反対意見だとすれば、地方自治法第99条で保障される私たち地方議会の権能たる意見書提出権をもないがしろにするものといわなければならず、非常に残念でありました。
大崎事件の96歳の原口元被告人は、いまなお、再審請求を継続されていますし、名張ぶどう酒事件は、50年を超えて再審請求中ですが、奥西死刑囚は89歳で獄死され、今、その妹さんが、奥西さんの遺志をついで、再審請求を継続されています。
請願の委員会審査の中の上記意見などをもし、ご本人たちが聞かれたら新たな落胆を与えてしまうことになるかもしれません。
改めて、ぜひ、直ちに本請願を採択すべきであります。
以上、国に対し「再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める意見書」の提出を求める請願の賛成討論といたします。
──────────────────────────────────
法務大臣閣議後記者会見の概要(抜粋・3月22日・水)
再審請求事件に関する質疑について
【記者】
過日、東京高検の特別抗告断念により、袴田巌さんの再審公判開始が決まりました。大臣の受け止めをお聞かせください。
【大臣】
御指摘の事案につきましては、検察当局が、最高裁判所に対する特別抗告をしないという判断をしたということは、私も当然承知しているわけでありますが、個別の再審請求事件における検察官の活動内容に関わる事柄につきまして、法務大臣として所感を述べるのは、やはり差し控えるべきだろうと思っておりますので、御容赦いただけたらと思います。
【記者】
刑事裁判の再審についてお伺いします。先ほどお話のあった袴田事件に関しては、法曹界から再審の制度化について色々な意見もあったかと思います。改めてお伺いしますが、今回の袴田事件を受けて、再審の制度化、証拠開示の手続の成文化であったり、検察官抗告の在り方について、議論を加速させる考えが大臣にあるのでしょうか。
【大臣】
まず一つは、検察官が再審開始決定に関して抗告をし得るということについては、公益の代表者として当然のことであろうと思っておりますので、これによって再審請求審における審理・決定が適正かつ公正に行われることが担保される、そういう制度だろうというふうに認識しています。
そして、様々な御指摘を頂いているところでありますけれども、今、再審請求審における証拠開示の問題ですとか、そもそも抗告権を排除すべきだとか、色々な御意見がありますが、抗告権を排除するということにつきましては、今申し上げましたように、違法・不当な再審開始決定があった場合に、法的安定性の見地からこれを是正する余地を全くなくしてしまうという問題もあり、また、司法制度全体の在り方とも関連するものでありますので、これは慎重に検討すべきだろうと思っています。
また、証拠開示についても様々御議論いただいておりますが、御案内のように、かつて法制審議会の部会においても議論がなされておりまして、再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けること自体が困難であるとか、それから、再審請求審は通常審と手続構造が異なるので、通常審の証拠開示制度を転用することは整合しないといった問題点も指摘されておりまして、証拠開示制度については、これらの指摘を踏まえ、慎重に検討する必要があると思っていますが、この点については、平成28年に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第9条第3項において、検討を行うということが求められております。
そこで、平成29年3月から、この検討に資するよう、最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会、警察庁の担当者で構成する「刑事手続に関する協議会」を開催し、協議が行われてきたところです。
そして、昨年7月からは、同法附則第9条により求められている検討に資するために、刑事法研究者等の有識者、法曹三者、警察庁及び法務省の担当者によって構成される「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」を開催しておりまして、この協議会においては様々、例えば、取調べの録音・録画制度や合意制度など改正法により導入された各制度に加えて、再審請求審における証拠開示についても、協議が行われる予定になっておりますので、法務省としては、充実した協議が行われるよう、適切に対応していきたいと考えています。
(以上)
難破・座礁するマイナ保険証!
自主返納は微々たる数???
河野デジタル相は「自主返納は微々たる数だ」と強弁し、自らが崖っぷちに立たされていることから目をそらしています。現状では、紙の保険証の廃止などできないことは明らかです。それどころか、マイナ行政自体が破綻しかねないのですから。
6月2日可決・成立した「マイナンバー法等の一部改正法案」は約20の法改正の悪名高い「束ね法案」で、デジタル庁はその趣旨を次のように述べています。
「今般の新型コロナウイルス感染症対策の経験により、社会における抜本的なデジタル化の必要性が顕在化。デジタル社会の基盤であるマイナンバー、マイナンバーカードについて国民の利便性向上等の観点から、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)等の一部改正を行う」
健康保険証廃止を?前提?した内容を含むこの束ね法案、マイナンバーカードを実際に持っているのはまだ60%台だということだから、このままでは医療機関は大混乱。何らかのトラブルで本人確認ができないなかで、窓口で全額支払いを求められる事態が多数発生しています。保険証の喪失等で皆保険制度も事実上崩壊し、医療の危機さえ想定されます。
混乱はマイナ保険証だけではなく、あれもこれもあらゆるひも付け、本人確認の過程で間違いが蔓延しています。その過程で個人情報漏洩の危険性があるのですが、誤入力とか操作間違いではすまされない構造的欠陥ではないでしょうか。他人の医療情報で治療を受けるようなことになってしまったら、命にもかかわります。
日替わりで報道されるマイナ不祥事、厚労省が「従来の保険証も持参を」と言うに及んで、その無責任にあきれ果てます。ついに、マイナカード返納続々、3月3日時点で約42万枚と「東京新聞」(6月30日)が報じました。「神戸新聞」(7月3日)は続報として、5月以降急増、神戸市では5月中に30件とか。
それでは、返納手続きはどうすればいいのか、西宮市に返納手続きについて周知するよう求めてみました。その回答は次の通りでした。
「ご指摘のとおり、本市のホームページ上の『よくある質問』には、マイナンバーカードの返納手続きについて記載しておりませんでしたので、ご指摘を踏まえ、現在掲載の手続きを進めております。また、マイナンバーカードを返納される場合は、ご本人様が市役所の窓口にマイナンバーカードをご持参いただき、個人番号カード返納届出書をご記入のうえ、マイナンバーカードを返納いただくこととなります。なお返納は、市役所本庁舎1階市民課のほか、各支所、アクタ西宮ステーションで受け付けております」
カード普及率についても、デタラメな数字が示されていたことが報じられています。交付数のみを追っていると、単純に死亡による減少は反映しません。すでに500万枚の過大計上が明らかになっていますが、交付率が100%を超えた自治体があるというのだから笑い話にもなりません。
マイナカードを巡っては、これまでその対抗策として「番号は書かない、カードは持たない」でおこうと呼びかけてきました。しかし、すでにマイナカードを持ってしまっていたらどうするのか、とりあえず引き出しの奥にでも仕舞っておくとか、確かな対処は不明確でした。
そうしたなかで、自然発生的な返納運動が起きたということは、マイナカード強制に対する反発が、意識的な附番制度(デジタルパスポート)の拒否へと向かいつつあるのかもしれません。個人情報の集積による市民監視、その活用を企業利益の手段とする、はてな優秀な兵士の選択に・・・等々。名前がある私たちは、国家によって附番されたカードの携帯おことわり。その前に、まず返納。
住基番号と共通番号
通知カード(11桁の共通番号を知らせる通知)が所帯ごとに送られて来たのは2015年10月から、そして番号の利用開始、個人番号カードの交付が始まったのは年明けの1月からでした。その過程で、住民基本台帳カードの発行は終了しました。住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が導入されたのは02年、2000億円を超える税金が投入されましたが、住基カードの交付枚数は710万枚(15年3月)、普及率は5・5%でした。
完全な失敗策、そこで登場したのがマイナンバーカード。住基番号は11桁で、市区町村の住民基本台帳を元に住民票コードが割り当てられるものでしたが、マイナンバーは全ての対象者に生涯不変の12桁の番号が割り振らています。住基システムでは地方自治情報センターを通じて他自治体と情報連携するものでしたが、マイナンバーは地方公共団体情報システム機構(J−LIS)が全てを仕切っています。
*地方公共団体情報システム機構
2014年4月1日に地方共同法人として設立され、その後、デジタル庁の発足とともに体制が強化され、国と地方公共団体が共同で管理する法人となりました。こうした中で、マイナンバーカード関連システム、住民基本台帳ネットワークシステム、自治体中間サーバー・プラットフォーム、公的個人認証サービス、コンビニ交付サービス等、地方公共団体の行政サービスを支える大切な基盤となる各種システムの運営を担っております。
違憲訴訟の経過
住基ネット違憲訴訟とマイナンバー違憲訴訟、どちらも全国各地で取り組まれ、私はどちらも原告として参加しました。住基訴訟では、大阪高裁で控訴人の住民票コードの削除を認める画期的判決(06年11月30日)がありましたが、最高裁ですべて敗訴となっています。最高裁判決(08年3月6日)は次のような判断を行っています。
*住基ネットを管理、利用等する行為は、日本国憲法第13条に違反しないとして、シス テム上、住基カード内に記録された住民票コード等の本人確認情報が行政サービスを提 供した行政機関のコンピュータに残る仕組みになっておらず、データマッチングは懲戒 処分、刑事罰の対象となり、現行法上、本人確認情報の提供が認められている行政事務 において取り扱われる個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体は存在し ないことなどにも照らせば住基ネットにより、個々の住民の多くのプライバシー情報が 住民票コードを付されてデータマッチングされ、本人の予期しないときに予期しない範 囲で行政機関に保有され、利用される具体的な危険が生じているとはいえない。
私も原告となっているマイナンバー違憲訴訟では、控訴審で敗訴、最高裁に上告となっています。22年12月15日の高裁判決に対して、原告・弁護団声明を出しています。残念ながら今年3月9日、先行する訴訟の最高裁敗訴判決が出ています。
マイナンバー違憲訴訟・大阪高裁判決についての声明 ────
マイナンバー違憲訴訟大阪原告団 マイナンバー違憲訴訟大阪弁護団
大阪府内に居住する住民を中心とした76名の控訴人が提起したマイナンバー違憲訴訟につき、大阪高裁裁判所第11民事部(植屋伸一裁判長、福田修久裁判官、大河三奈子裁判官)は、本日,判決を言い渡した。この判決に対する原告団・弁護団の声明は以下のとおりである。
1 判決は,番号制度のもとでは,「個人の通院記録等,秘匿性の高い情報を含む個人情報が個人番号と紐付けて管理されることになるから,その利用方法を誤ったり,悪用された場合には,個人情報が知らぬ間に第三者に開示,公表されるなどして,重大なプライバシー侵害を生じる可能性があることは否定できない」としつつも,番号制度に設けられた種々の保護措置から,プライバシーをはじめとする基本的人権の侵害につながる具体的危険性を有するとは言い難いとした。
しかしながら,判決は,以下に述べるとおり,控訴人らの指摘する危険性を真摯に検討したものとは言い難い。
2 控訴人らの指摘したプロファイリングの危険については,番号法はプロファイリングを目的とするものではなく,プロファイリングを許容するものではない(31頁),などと行政への根拠のない過度な信頼を前提としたうえで,その危険を否定した。
3 捜査機関による個人番号の取得に個人情報保護委員会の監督が及ばないことは,法制度上の不備であるとの控訴人らの主張については,判決は「控訴人らが個人番号により紐付けられることを懸念する税金,年金,社会保険等の情報は,従前より,捜査機関に おいて捜査上の必要があれば捜査関係事項照会等の任意捜査の方法により取得し得たもの」としたうえで,「これらの情報が個人番号により紐付けられることで,捜査機関による情報収集が効率化する可能性はあるが,そうであるからといって,番号利用法によって無限定な情報収集が許容されるようになったわけではない」などとしている。
しかし,控訴人らは,情報収集の場面のみならず,捜査機関が収集した情報を個人番号に紐付けて保管,管理,利用する(データベース化する)危険性も指摘していたが,判決はこれに何ら応えていない。
4 判決は,上記のような理由付けをもって,マイナンバー制度により控訴人らの権利を侵害する具体的な危険は生じていないとしてその請求を棄却した。
しかし,現代社会におけるプライバシー権の重要性,そして飛躍的に発達したデジタル化の技術がこれを大規模に侵害する可能性を省みず,控訴人らの不安に寄り添うことが全くない,極めて不当なものであると言わざるを得ない。
控訴人及び弁護団はこのような不当な判決に抗議すると共に上告により最高裁判所に舞 台を移し引き続き闘い続けることをここに宣言するものである。 以 上
“マイナンバー制度 憲法違反でない” 集団訴訟で最高裁初判断
−3月9日 18時43分 NHK NEWSWEB
マイナンバー制度が憲法違反かどうかが争われた3件の集団訴訟で、最高裁判所は「正当な行政目的の範囲内で利用や提供がされていて、プライバシー権は侵害しない」として、憲法違反ではないとする統一的な判断を初めて示し、国に対しマイナンバーの利用中止などを求めた訴えを退けました。
7年前に運用が始まったマイナンバー制度について、住民たちが「個人情報が漏えいする危険性が非常に高く、プライバシー権を保障した憲法に違反する」と主張して国に対しマイナンバーを利用せず削除するよう求めた集団訴訟は、2015年以降全国8か所で起こされました。
このうち仙台と福岡、それに名古屋で起こされた3件の訴訟の判決が9日に言い渡され、最高裁判所第1小法廷の深山卓也裁判長は「マイナンバー制度は行政運営の効率化や国民の利便性向上を目的としているほか、個人情報の利用範囲も社会保障や税などに限定されていて、正当な行政目的の範囲内で利用や提供がされている。情報管理システムから情報が漏えいする危険性も極めて低い」と指摘しました。
そのうえで「個人情報が正当な目的の範囲を逸脱して第三者に開示される具体的な危険はなく、プライバシー権は侵害しない」として、マイナンバー制度は憲法違反ではないとする統一的な判断を示し、住民側の敗訴が確定しました。
マイナンバー制度が憲法違反かどうかについて最高裁が判断を示したのは初めてです。
原告側弁護士「訴え認められず残念」
判決について、福岡の訴訟を担当した武藤糾明弁護士は会見で「結論からいえば訴えは認められず残念だ」と話しました。
そのうえで、判決のあと「マイナンバーに歯止め」と書いた紙を最高裁前で掲げた思いとして「政府は税と社会保障、それに災害対策以外にも利用範囲を広げようとしている。政府の動きに歯止めはかかったのではないか」と述べました。
最後に「赤旗日曜版」(7月9日)の指摘「財界のもうけ最優先」からの引用:「保険証などに個人番号カードに一元化する『ワンカード』などを検討すべき」(14・6.経団連) 「運転免許証や健康保険証、年金手帳等に加えて、母子健康手帳や図書館カード等を個人番号カードに一元化すべき」(18・2.経団連) 「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を原則とする方針を明示し、新健康保険証の交付は最小
限に」(18・8.経済同友会) 「各企業の健保組合において、単独の健康保険証交付をとりやめ、完全な一体化を実現すべき」(21・4.中西宏明・経団連会長や新浪剛史・経済同友会副代表幹事ら) 「現行の健康保険証はそのまま使い続けることができる。そのため、マイナンバーカードの普及効果はあまり期待できない。まず健康保険証とマイナンバーカードを統合することにより、すべての国民が常時マイナンバー及びマイナンバーカードを携行する体制をつくる」(22・4.経済同友会)
−2023・7・20 折口晴夫
入管法改悪法案可決に対する抗議声明
2023年6月9日
入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合
代表 指宿昭一
2023年6月9日、参議院本会議にて、入管法改悪法案が可決されました。
この入管法改悪法案は、「申請者に難民がほとんどいない」という難民審査参与員の発言の信ぴょう性が揺らぎ、ウィシュマさん事件後に入管の医療体制の改善が進んでいるという報告が、大阪入管酩酊医師事件を隠ぺいしていたことが発覚して崩れ、さらに、難民審査参与員への事件の振り分けが不適正であることが分かり、送還忌避者数の増減や送還ノルマの問題等について重要な立法事実が明らかにならないまま審議が打ち切られ、強行採決されました。立法事実が崩れているのに法案の採決がなされるということは、国会審議が政府法案の追認手続きにすぎないことを宣言するもので、極めて異常な事態です。
自国に送還されれば命の危険がある難民申請者の強制送還を可能にする送還停止効の例外規定、監理人制度によって収容を解いた外国人に対する監視と管理の強化、強制送還拒否に対する罰則規定など、難民の命を危険にさらし、入管に強大な裁量権を与えることによって、さらなる人権侵害が起こりえることが目に見えています。
入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合は、国会審議の意味を否定し、法案に反対する全国の数多くの市民の声に背を向けた強行採決に強く抗議します。
しかし、改悪入管法の成立は、我々の敗北ではありません。この強行採決は、入管の敗北の始まりです。民族差別と人権侵害の巣窟である入管制度は、今日を境に、崩壊を始めます。
これまで隠匿されていた入管の不都合な真実が暴露され、立法事実が崩壊し、隠されてきた情報が次から次へと明らかになりました。これらは国会の内外で引き続き徹底して追及すべき重要事項ばかりです。
入管の思惑に沿って難民不認定を乱発していた難民審査参与員柳瀬房子氏の参考人招致によって「臨時班」の運用実態を明らかにすること、情報公開してこなかった大阪入管の酒酔い常勤医師問題の追及などを行うべきであり、法案の成立によって問題の幕引きをさせることは決して許されません。
法務大臣には、入管行政と難民認定審査の適正化に必要な議論と対応を尽くすことはもちろん、国会答弁に基づき、未成年を始めとする、帰国できない非正規滞在者に速やかに在留特別許可を出すことを強く求めます。
そして、在日外国人・難民支援団体に限らない、様々な分野の支援団体、専門家、市民、学生による入管法改悪反対のアクションが、これまで類を見ない規模で全国各地で開催されました。私たちは二度とウィシュマさんのような入管行政の犠牲者を生み出さないように、改悪反対を共に闘った市民と手を取り合い、民主主義・人権を守る闘いを続けます。闘いは終わりではなく、新たな闘いが始まります。共に、進みましょう。
https://www.ntsiminrengo.org/about-5?utm_campaign=f153948e-6cc5-4f89-81e3-74e1cc625ad4&utm_source=so&utm_medium=mail&cid=3ea03a94-33b0-4cc4-a9b1-585fd782a869
4月14日から番号法「改正」案が国会審議される中、マイナンバーカードのトラブルが止まらない。3月27日に横浜市で発覚した証明書コンビニ交付での誤発行は、5月になり足立区、川崎市、徳島市、新潟市・さいたま市・熊本市と続発し、しかもすべて原因が異なるという状態だ。当初「マイナンバーカードの信頼性に影響しない」と軽視していた河野デジタル大臣は、トラブルの広がりを見て5月9日に突然、原因となった富士通Japanのシステムを停止して総点検することを求めた。
さらに5月23日の記者会見で河野大臣は、番号法「改正」案で本人同意なく登録することが提案されている公金受取口座登録に、6自治体11件別人の口座登録があったことを公表した。25日には総務省が90自治体113件のマイナポイントの誤付与を発表し、さらに拡大の様相だ。
政府はこれらトラブルを「マイナンバーカードのシステムではない」と、自らの責任を認めない。しかしコンビニ交付もマイナポイントも、マイナンバーカード普及の目玉として政府が強力に推進してきた施策だ。それをトラブルが起きたとたん、業者の責任、自治体の問題、人的エラーと言い逃れしている。このような無責任な政府にマイナンバー制度が委ねられ個人情報の共有と官民の利活用が推進されていることに、私たちはますます不安を募らせている。
マイナンバーカードの取得は任意であることが番号法に明記されているにもかかわらず、「全住民への取得を徹底する」という法を逸脱した施策を強引に押し進め、市町村に過重な負担を強いてきたことがこれらトラブルの背景にある。取得の押しつけを直ちに止め、政府の施策で生まれたトラブルを自らの責任で解決すべきだ。
さらに5月12日に厚労省は、マイナ保険証に7312件の別人の情報がひも付けされ、5件が誤って閲覧されていることを明らかにした。これは個人情報の漏洩にとどまらず、別人の診療情報や投薬情報の閲覧により誤った治療が行われる可能性がある危険なトラブルだ。
この誤登録はすでに2021年3月に明らかになっていた1。マイナンバーの誤登録だけでも約3万5千件発生し、2021年3月に開始予定だったマイナ保険証は誤登録の修正と再発防止のため10月に延期された。しかし開始後1年で新たに7312件が発生している。このことは今年2月に公表されている2 にもかかわらず、その後の誤登録の発生状況は不明だ。厚労大臣は7月までに点検するとしているが、このような状態で健康保険証廃止を決めることなど許されない。
政府はこの誤登録発生の責任を保険者(健保組合等)に押しつけている。しかしJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)に氏名・生年月日等によりマイナンバーを照会する仕組みの困難さは、マイナンバー制度開始以前に総務省の有識者会議で「間違った紐付けが行われることと、厳格にやりすぎて紐付けが行われないこととのバランスをとる必要がある」と指摘されていた3。マイナンバー制度の構造的な問題というべきだ。
健康保険証の廃止に対しては、マイナ保険証の申請や管理に困難を抱える施設入所者等や障がい者への対策が「検討中」状態で、準備不足の見切り発車であることが国会で明らかになった。申請しないと受け取れない資格確認書では、国民皆保険制度に穴が開く。医療現場ではマイナ保険証で正しい保険資格が取得できないとか、顔認証が読み取れないなどのトラブルが続発している。マイナンバーカードの実際の取得率は66.4%であることが5月12日の国会審議で明らかになったが、政府の調査4 でも取得者の9割はマイナポイント目的で、マイナ保険証に利便性を感じていないことは受診者の93%が健康保険証を引き続き利用している5 ことにも示されている。健康保険証を廃止してはならない。
番号法「改正」案は、税・社会保障・災害という利用範囲の枠をなくし、行政の判断で利用事務や情報提供を拡大しようとしている。政府は例外的な場合と説明するが、そのような限定や利用を監視する仕組みは改正法案にはなく、マイナンバー制度の歯止めなき利用拡大がはじまろうとしている。 私たちは、健康保険証を廃止し歯止めなき利用拡大に道をひらく番号法「改正」案の撤回を求める。
2023年5月25日
共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会(共通番号いらないネット)
http://www.bango-iranai.net/
【連絡先】Tel 080-5052-0270(担当・宮崎)
2023年5月18日
入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合(略称:入管闘争市民連合)
HP: https://www.ntsiminrengo.org/ Twitter:@nyukan_alliance
(問合せ先メールアドレス:info@ntsiminrengo.org) 代表 指宿昭一
2023年5月12日に行われた参議院本会議、同月16日、18日に行われた参議院法務委員会にて、参議院議員である梅村みずほ氏(以下、梅村氏)が、事実無根の発言を繰り返していることに、強い抗議の意を表します。
後述のように梅村氏は、支援者がウィシュマさんに対し「病気になれば仮放免される」と述べ、詐病を演じるようそそのかしたかのような発言を参議院本会議で行ないました。しかし、STARTの抗議文(参照1)にも書かれてあるとおり、STARTはウィシュマさんに対してそのような趣旨の発言をしたことは一度もありません。病院に行くためのアピールをすることを伝えたとき、ウィシュマさんはすでに体調不良で、病気でした。支援者は、名古屋入管に対して、ウィシュマさんに点滴をすること、また入院も含めた病気治療を直ちに行うよう、入管に対して、収容主体としての責任を果たすことを何度も要求していました。しかし、点滴をしてほしい、病院へ連れて行ってほしいというウィシュマさんの再三の懇願を、入管は詐病であるとしてまともに聞き入れず、放置し、その結果、ウィシュマさんは命を落としました。たとえ常勤医がいなかったとしても、当時の名古屋入管局長がその権限でもって判断し、仮放免するなり、救急搬送するなりの適切な処置をしていれば、ウィシュマさんの命は救えました。
しかし、梅村氏は、16日の法務委員会で、弁護団からの質問状について次のとおり回答しています。
「質問2 よかれと思った支援者の一言」が原因で、「ウィシュマさんに「病気になれば仮釈放(仮放免)してもらえる」という淡い期待を抱かせ」たとの事実があるのかご教示ください。」
「質問3 ウィシュマさんが本当に「病気になれば仮釈放(仮放免)してもらえる」と淡い期待を抱いていたのは事実であるか、ご教示ください。」
の質問に対して、いずれにも「事実はありません。しかし可能性は否定できません」と答えています。
「事実はない」と言いながら、「可能性はある」という憶測回答は意味を成していません。梅村氏が「事実はない」と認めたのであれば、あとは撤回と謝罪しかありえません。
本日18日の法務委員会でも、「不詳の死」について入管次長に「ウィシュマさんはハンガーストライキを行なっていなかった、そう断定出来る事実はありますか?」など質問し、さらに「支援者のあり方」という名目で、「支援者に問題はなかったのか」と支援者に責任を追及する質疑を続けました。
一連の梅村氏の発言は、入管の高度な管理責任義務という点を問うことなく、まるでウィシュマさんと支援者のコミュニケーションが事件を引き起こしたかのように問題をすりかえ、入管を免罪して、支援者やウィシュマさんに責任を転嫁したものです。梅村氏は、民主主義国家たる日本の国民(市民)の代表者として選出された国会議員として不適格であるといわざるをえません。
梅村氏の発言は、ウィシュマさんへの冒涜であり、支援者に対する蔑視以外のなにものでもありません。梅村氏の発言に強く抗議し、発言の撤回と謝罪を求めます。
入管は、入管法24条に基づき同法25条の退去強制手続きとして、又は退去強制手続きの裁決の結果として外国人を収容施設に収容できる権限を付与されています。この収容権の入管への付与は、当然に入管が収容された外国人の命や健康を守る責任義務を果たすことを前提としています。
ところが梅村氏は、ウィシュマさん死亡事件について、入管の収容主体責任義務問題を全く問わず、「ウィシュマさんに「病気になれば仮釈放してもらえる」という淡い期待をいだかせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況につながったおそれも否定できません」と、支援者に問題があるかのようにすり替えています。
立法府の議員である梅村氏は、収容する側の入管と収容されている側のウィシュマさんとの関係は、圧倒的に強い国家権力と私人との関係であることを分かっているのでしょうか。入管によって、被収容者は身柄拘束され、診療の自由も食事の選択権も奪われています。だからこそ自分の自由意思で病院に行くことさえ出来ないウィシュマさんは、点滴を打ってほしい、等々と命の懇願を入管に何度もせざるを得なかったのです。そして、このままでは死んでしまうではないか、と入管に点滴を打つなど適切な診療を行うよう必死の抗議をしたのが、梅村氏がいう支援者です。しかし、名古屋入管はウィシュマさんの命の懇願、支援者の抗議を無視しました。名古屋入管は、入管庁本庁の通達、通知のもと、被収容者の人命よりも「送還忌避者の発生を抑制」し、送還業務を促進させる処遇を忠実に遂行し、ウィシュマさんを死に至らせました。これが、ウィシュマさん死亡事件発生の本質的問題です。
ウィシュマさん事件の真相究明も総括もせず、人命軽視の体質を持った入管に、新たにさらなる権限を与えるというのが政府提出の入管法改悪法案であり、それが今、本国会の参議院で審議されています。
梅村氏に問いたい。市井の個人が、誰かの身柄を拘束し、自由を奪い拘禁すれば、それは監禁罪となる。にもかかわらず入管には合法的に無期限収容できる収容権が付与されているが、その収容権付与の前提とは何か、と。
私たちは、入管には、収容主体として被収容者の命や健康を守る高度な管理責任義務があり、その管理責任義務を果たすことが入管に対する収容権付与の大前提であると考えます。この点については、入管自身が「収容施設は,被収容者の自由を制約して収容する施設であるから,全ての職員は,自らが被収容者の生命と健康を守る責務を有することを自覚して業務に当たることが基本である。」(最終報告書94ページ))と、表向きは認めざるを得ません。
被収容者の人権(命や健康は最大の人権)を尊重するという収容権の行使に対する制限がなければ、入管の収容権は、被収容者の人命を奪う凶器となることは明らかです。それゆえ私たちは、立法府の議員である梅村氏の国会での一連の発言は、入管の高度な管理責任義務という点を問うことなく、何の根拠もない思い込みで、まるでウィシュマさんと支援者のコミュニケーションが事件を引き起こしたかのように問題をすりかえたことを問題視しているのです。医療や行動の自由を著しく制限され、自身の生命を守る術すら奪われた被収容者の生命や健康が脅かされる事例が、ウィシュマさんの死亡事件が起こる以前から、収容所内では繰り返されていました。また、ウィシュマさんの事件以降も、続いています。面会活動をしている支援者らは、入管が被収容者の生命と健康を守るための管理責任義務を果たすことなく、入管にこれ以上の権限を与えることを、認めることはできません。
梅村氏の問題発言は、立法府の議員としては失格発言であると言わざるを得ません。そもそも法律は法の対象に対する強制力を本質とします。強制力を持つ法律の立法について審議する国会において、議員として立場を自覚していたならば、梅村氏の問題発言はあり得ません。梅村氏が、法律の本質のイロハも知らない国会議員であるなら、梅村氏が入管法案の審議に参加するというのは笑止千万です。
なお、重要な法案審議の場で、梅村氏が質問状の回答を述べることについては、ご遺族、弁護団、支援者が求めたことではありません。ウィシュマさん事件は、もちろん重要な事案ではありますが、2021年4月に衆院法務委員会に参考人として呼ばれた「難民を助ける会」の名誉会長で難民審査参与員の柳瀬房子氏の発言内容など、現在参議院で審議中の政府案の立法事実となったであろう事案について、より時間をかけて審議されるべきです。その他、衆議院法務委員会に召集された参考人の発言内容について、監理措置制度、司法審査の機会と法律扶助の利用の確保、未成年者の在特問題など、審議から取り残されています。特に、柳瀬房子氏が発言した「(難民認定)申請者の中に、難民はほとんどいない」、2021年4月21日の衆議院法務委員会で、参考人として、「参与員制度が始まったのは2005年からですので、私は既に17年間、参与員の任にあります。その間に担当した案件は2000件以上になります」との発言が虚偽である可能性がある疑惑について追及すべきです。
立法府である国会は、議員のパフォーマンスの場ではありません。人の人生を左右する入管法案であるからこそ、参議院法務委員会で立法事実を精査し、審議を進めることを求めます。
以上
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日本
2023年5月10日 —
PDF https://drive.google.com/file/d/1vtSDbUloXrVQ0bvCJCPSwCCK5kxePr2-/view?usp=sharing
1 入管法改定案に反対し、衆議院可決に抗議します
入管法改定案が、通常国会に提出され、5月9日、衆議院で可決されました。衆議院採決に抗議し、まもなく開始される参議院において廃案とすることを求めます。
2 人道に反し、一昨年廃案になった入管法改定案
本法案は、政府が2021年の通常国会で廃案になった入管法改定案と、ほぼ同じ内容であり、衆議院で行われた一部修正を経ても、多くの人の命や人権を脅かす、以下の重大な問題を含んでいます。
3 審議でも問題点が明らか
衆議院法務委員会の審議でも、2021年3月に名古屋入管に収容されていた女性ウィシュマさんが亡くなった重大な事態について、あたかも再発防止に資する法案であるかのような説明をしていた政府委員も、「監理措置」制度の下でもウィシュマさんが解放されていたかどうか判らないとしか答えられませんでした。
難民の保護についても、3回目の難民認定申請の審査請求で難民認定された例があることが明らかになり、3回目以降の申請者の送還を可能とする法案の危険性があらためて指摘されています。
さらに、入管庁の法案資料「現行入管法の課題」で、2021年4月21日に行われた衆議院法務委員会における参考人となった難民審査参与員の1人が、約2000件について対面で聞き取りをしたと述べた上「難民の認定率が低いというのは、分母である申請者の中に難民がほとんどいないということを、皆様、是非御理解ください。」と発言したことを引用して、難民認定率の低さを正当化していました。しかしながら、2023年4月21日に衆議院法務委員会に参考人として出席した2名の現役難民審査参与員は、いずれも年間処理件数50件程度と述べていました。参与員制度は2005年に施行されました。2021年までの16年間時点で2000件を担当したということは、平均すると年間125件、他の参与員の2.5倍です。あまりに不自然であり、少なくともこのような件数の対面聞取りによる慎重審査は不可能です。2回目までの難民認定申請がずさんな処理をされているのであれば、送還停止効の制限が難民にとって危険であることが、さらに明らかです。
4 犠牲を繰り返さないために、さらに多くの反対の声を
与野党間でなされる修正協議のように、政治に譲歩は必要なこともありますが、人権が蹂躙されるのを前にして、譲歩の余地があるのでしょうか。人権が侵害されている人たちにとって、さらに侵害しようとする入管庁への譲歩とは何を意味するのでしょうか。人権条約に違反している政府との間で譲歩することは、日本にとって何を意味するのでしょうか。
移民、難民の人たちに対する非人道的な政策はやめさせるべきであり、まして悪化を許すべきではありません。
私たちは、引き続き、入管法改定案の成立に反対します。非人道的な収容による犠牲を繰り返させず、苦境にある難民等の人たちの排除をさせないために、さらに多くの市民の皆さんに、私たちと共に法案に反対してくれるよう呼びかけます。
2023年5月9日
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク
全国難民弁護団連絡会議
日本カトリック難民移住移動者委員会
入管問題調査会
全件収容主義と闘う弁護士の会 ハマースミスの誓い
特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ