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オンブズ通信 《 17号 》
発行:2005年8月20日

武庫川の総合治水とリバーサイド問題
 7月31日、宝塚のアピアホールでリバーミーティングが開かれた。リバーミーティングとは、武庫川流域委員会が主催して、広く「武庫川づくり」に関する「意見交換」を行う場だ。その日は第6回を数え、メインテーマは都市部における総合治水だった。
 宝塚の自治会代表を名乗る人から宝塚大橋辺の左岸が、数千万円かけて改修してもすぐに豪雨で流れ、税金の無駄遣いだという指摘があった。今後の注文として、,海譴らは流されぬような改修を施すこと、∩躪膽水を考える上で、今、木之元地蔵辺りで、167号線の拡幅工事が行われ、山を造成中だが、遠くのダムより近場の保水対策が大事だとの意見が出されて首肯く人が多かった。
 しかし同じ宝塚市民でも、まち協に参加している人からは、武庫川とまちづくりの関連で、新しい憩いの場計画(マイタウン・マイリバー計画のことか?)の推進要望があり、様々な立場の人の合意形成の難しさが感じられた。
 昨秋に23号台風で浸水被害にあったリバーサイド住宅の人からは、総合治水の一環として、〔鵤顕円もかけて堤防を作るぐらいなら、全戸移転をさすべき、∪彙呂麓然の状態に任せて遊水地や公園として活用すべきという切実な提案があった。
 また、遅れて出席した同じリバーサイド住民からは、速報があって、今、当地はヌカ雨程度なのに、武庫川の水が急に増水し、川の中州に取り残された中学生2人を救出するのに救急車やパトカーが出動して大騒ぎになっているということだった。
 成程、あとで見た新聞記事では、県の防災ヘリが出動してやっと救出したようなことらしい。後で得た情報によると、当日12時から13時までに降った時間雨量は篠山で17ミリ。それが15時の生瀬では、一挙に水位が倍増するくらいあがったということだ。
 先年には夙川河口で急な水位上昇で死者が出たぐらいだから、上流部の集中豪雨による影響で浸水常襲地帯とされるリバーサイド近辺では、充分な防災対策が施されていて然るべき筈なのに、実際には、諸設備が間に合わなかったようだ。
 台風シーズンを控えてこれからも充分に懸念される増水騒ぎなので、リバーサイドの人達は、命と財産を守る為に心を一つにして、行政に防災対策を訴え、河川の改修に関しては納得のいく説明を受け、ひいては総合治水に悔いのない計画が早く実行に移されるよう、総力でモノ申して頑張って欲しい。
 今回初めて行われたミーティング後の交流懇親会では、官民それなりの実情が話し合われたので、相互認識と理解に役立てばよいのだが・・・双方の歩み寄りと公共事業の在り方が問われている。 (前川協子)



『西宮平和無防備条例』直接請求を終えて  報告と感想

 本通信16号(4月16日号)でもお知らせしていました「西宮市平和無防備条例」を求める直接請求の一連の動きと感想など、以下に述べたいと思います。

 条例案の趣旨と直接請求制度

 この条例案は、そもそもこの国が世界に誇る憲法9条(戦争放棄・戦力の不保持)及び前文の平和的生存権の理念を持ちながらそれを生かしきれない現状に危機感を持った市民が、ジュネーブ条約追加議定書第59条にある「無防備地域」という昨年、日本政府も批准した条項に基づいてつくられたものです。
この「無防備地域」とは「適当な当局」が、以下の4条件(a〜d)を満たせば「無防備地域」と宣言して、紛争当事国が攻撃することを禁止する、というものです。
 a,すべての戦闘員が撤退しており並びにすべての移動可能な兵器及び軍用設備が撤去されていること。
b,固定された軍事施設の敵対的な使用が行われないこと。
c,当局又は住民により敵対行為が行われないこと。
d,軍事行動を支援する活動が行われないこと。
政府が有事というものを積極的に想定するのであれば、その危険性にともなって、市民一人ひとりの命はより安全に守られねばならないというのが条例請求の趣旨です。
昨年、成立してしまった有事関連法の、武力攻撃事態法や国民保護法では我々、そもそも武器とは無縁に平和的に生きている市民の命は守れない。むしろ自衛隊や在日米軍の存在が日々の安全さえ脅かしているという現実もあります。そのような状況を考え、ジュネーブ条約を実効化するための立法が未整備である今、地方自治の本旨のひとつである住民自治の現れとして、直接請求の形で条例請求を求めようとしたものです。そして、上記「無防備宣言」ができる主体は、住民の生命、財産を直接的に守るべき市当局にあると考え、市長がその宣言主体になりうると考えたものです。
この住民から条例制定を求める直接請求の制度は、地方自治法第74条に基づくもので、その地方公共団体の有権者総数の50分の1以上に当たる署名数を集めて条例案とともに請求するというものです(ちなみに、西宮市の署名集めの時点での有権者総数は36万3922人。50分の1は7279人)。

 署名集めから、市議会での否決まで

署名集めは4月29日から5月28日までの1ヶ月という期限ではありましたが、その間、市役所前をはじめとする街頭での呼びかけ、受任者の方たちによる地域社会での署名集めなどで、2万490人分(必要な法定数の3倍近い数字でした)が集まりました。
6月2日にその署名を添えて条例案を選挙管理委員会に提出。そして、選挙管理委員会に有効とされた署名数は1万8051人分でした。
その後、署名簿の縦覧期間を経て、7月4日に山田知西宮市長に総有効署名を添えて条例案の本請求を行い、7月6日には早速、市長によって本条例案についての意見が述べられました。
残念ながら山田市長は「国際平和を願う多くの市民の方々の熱意を、重く受けとめていかなければならない」としつつも、条例には反対の意見を表明をしました。
 反対理由は、
(1)「平和的生存権」は憲法前文にあるので、条例に規定するまでもない。
(2)無防備地域宣言は「防衛に責任をもつ当局、すなわち、我が国においては、国において行なわれるべきもの」との国の見解があり、本市が宣言しても実質的な効力を有しない。
(3)法令に違反して、あるいは普通地方公共団体の事務に属さないものについて条例を制定することは、地方自治法に抵触する。
(4)当市は「平和非核都市宣言」を行い、平和の実現や非核3原則についての姿勢や考え方を明らかにしており、平和に対する施策についても行っている。
 これらの点から「条例案は、その必要性及び有効性は認められず、また、地方自治法に抵触するものであるため、条例制定は無理がある」と結論づけました。
そして、その後、
11日の請求代表者5名による意見陳述
12日の総務常任委員会で実質的な議論
13日の本会議での採決
と一連の手続きは行われましたが、13日の採決では、市長の反対意見をうけた会派の議員多数(賛成は市民クラブの5人、共産党の5人、無所属1人)で否決されました。

 委員会の議論で明らかになったこと

総務常任委員会では森池議員と河崎議員が、当局に対し特に丁寧に質問をし、そのやり取りの中で、市長の意見だけでは見えてこなかった様々な市の姿勢や見解が明らかになりました。
 市当局の説明の中で配られた「赤十字国際委員会コンメンタール(解釈集)」(=西宮市の訳付)の「地方の文民当局」が宣言する場合、その遵守を確実にする手段を唯一持っている「軍当局」とは「自衛隊である」と答えました。
これは、「自衛隊は憲法上は軍隊ではないが国際法上は軍隊とみなされる」と述べた今から15年前、当時の中山外相の解釈による国会答弁を引用したものにすぎず、法律解釈ではありません。
さらに、「ジュネーブ条約第43条・軍隊の規定」でも、自衛隊は「軍隊に該当する」とし、同第49条・攻撃の規定を持ち出して「防衛のための実力行使も攻撃規定に該当する」と言いました。
 また「無防備地域宣言をするための4条件はすべて防衛行動」であると述べました。
防衛が国の専管事項である根拠について、「自衛隊法や有事関連法はそのことを前提にした明文規定になっている」とも答弁しました。
また、市長が述べた「『平和的生存権』は憲法前文にあるので、条例に規定するまでもない」と言った「不必要」の答弁を繰り返しましたが、軍事を目的にした市民の権利の制限や財産権の侵害、自然環境の破壊を受けることはない、としながら、この平和的生存権と相反して、条例案第2条2項(軍事を目的にした市民権の制約や財産権の侵害、自然環境の破壊を受けることはない)については、自衛隊法、有事関連法に抵触するとし、根拠として防衛出動において土地や家屋の強制収用はできることをあげました。
これらは、防衛の名の下にいつでも市民の財産を強制収用することができると明言したものであって、平和的生存権保障と、真っ向から矛盾するものといわなければなりません。
また、条例案第3条2項(軍事施設の建設を認めない)についても、「建築基準法で建築できるものを規制できない。まして、有事においては適用除外の規定もある」と答弁しました。
しかし、憲法9条に反する形で軍事施設を建設するのに、建築基準法さえクリアすれば建設が可能である、ということは憲法を踏み倒すことは無論のこと、軍事施設建設のためには市民の財産権や平和的生存権さえ当然のごとく制限できる、と西宮市が述べた、ということです。
つまり、国が市民の権利を制限しても、市当局はもとより国の下部行政機関として(本来、独立した行政機関のはず)市民の権利保護には回らない、ということです。

 地方分権への道を探らない西宮市

無防備地域宣言自体は防衛に責任を持つ当局、つまり国にしかその主体性はないと、市長はいいました。
しかし、市は「無防備地域宣言のための4条件はすべて防衛行動」という答弁をし、この中には「当局又は住民による敵対行為」や「軍事行動を支援する活動」もあります。
これは「防衛は国の専管事項であり自治体はできない」という答弁と論理的には矛盾しています。
 今後、3年以内に国民保護計画や避難マニュアルがつくられ、自衛隊の指揮で住民避難訓練が始まろうとしています。
国民保護計画に基づく自治体・住民の行動が、自衛隊(軍隊)を支援・円滑にする「防衛行動」の一貫としてみられる可能性もあります。
市に、独立して市民を守る姿勢が皆無であることを確認した今、私たちは、どこまでも一人ひとりの市民の命がまもられねばならないこと、そして戦争のない世界、戦争に加担しない社会をめざしてこのような運動に関わったものであること、再確認しなければなりません。

 恥ずかしいのは住民? 市議…?

蛇足になりますが、採決にあたり、憲法96条(憲法改正条項)に弛緩したデタラメな拡大解釈を施して「公務員たる議員」の憲法尊重擁護義務(99条)さえ遵守しなくてもよいかのような発言を本会議でやらかした蒼志会のI議員に傍聴席からいくつかの野次が飛びました。それに対して“行儀の悪いやつは、帰れ”というようなことを傍聴席に向かって、その議員は叫びました。
前日の総務常任委員会で森池議員に向かって真横の席から「そんなこと言うてないやろ、オマエ!」と不規則発言(これも、単なる野次ですね)をしたのは他ならぬI議員でした。
地方自治法が地方議会議員の拠って立つ立法であるなら、この条例案の直接請求の運動も地方自治法に則って、しかもこの運動に関わった住民は無論、全くのボランティアで行ってきたものです。その運動に対して彼は「直接請求されたことによるかかったコストも遺憾」と述べています。この「コスト」が選挙管理委員会をはじめとする行政の支出を指すのであるなら、たとえば当選するかどうか見込みの不確定な地方議員選挙においても一定限度で認められている実費弁償や運動員の報酬などの「コスト」にも“遺憾”であると、いわなくてはなりません。
このように地方自治法に則って動いた住民の権利行使自体にだけ異議を唱えるということは、その議員の地方議員としての資質が問われなければなりません。挙句に「(この)条例は身勝手で卑劣なもの」とまでいい、その言語感覚もさることながら、“西宮がターゲットにされたことが恥”という意味不明なことまで述べました。
西宮市も空襲をはじめ戦災によって多大の犠牲者を出し、その体験者もたくさんおられます。今回、請求代表者として動かれた松井幸雄さんをはじめとして、広島、長崎の被爆体験者もたくさんおられます。そのような人たちの心から平和を願う声に耳を貸すことなくその運動に関して「恥」という言葉で反論する市議の出現。
傍聴席からそのような議員に野次が飛ぶのは、平和を願う市民の当然の反応であって、自身の市議会での態度は棚に上げ(参考:地方自治法第132条「普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は無礼の言葉を使用し(中略)てはならない。」)、住民の権利行使には強権的に抑えこもうとする動きがあるとすれば、今後、このような市議こそ問題にしなければならないでしょう。他市から傍聴に来ていた知人に「ウチの市にはあそこまで品位の欠如した市議はいないわ」と言われ、西宮市の有権者であることが逆に恥ずかしくなりました。
地方公共団体とは?市議会とは?一体何のために存在するのか、その根本的存在意義や制度趣旨さえ問題にしていかなければならないのかと思うと、情ない限りです。

 直接請求で見えてきたこと…

ただ、今回の直接請求によって見えてきたことは、このような品位を欠く議員の実態が見えたこともさることながら、より多くの住民が動けばいろんなことがわかってくるということでした。
また、市議会の傍聴も多ければ多いほど、市議会議員や市当局の質問、発言、答弁もおろそかにはできないのだ、ということが肌で感じられたのもそのひとつです。
そして、一番大きいことは、そもそも国の武力攻撃事態法や国民保護法などで、市民の命がおろそかにされる、との危機感をもって条例制定に動いたのに、市民の生命、財産に関して国の意向にしか従わない西宮市には市民一人ひとりの命は守ってはもらえない事がはっきりしたということです。
「地方自治法に違反するのではなく、(市は)政府の解釈に従っているだけ」という請求代表者の一人である弁護士の在間秀和さんが意見陳述で指摘したことについて結局、市はきっちりと回答できませんでした。
 本当に“有事”という事態に将来、陥るとすれば、第一義的に外交権限のある政府にその事態を招いた責任があるのであって、我々すべての住民がその政府の失政の延長にある武力行使によって命を落とす事態に陥ることはもう、二度とあってはならないはずです。
そして、紛争当事国となった相手国の市民にとってもそれは全く同じことです。
「国がいくら戦争をしても市民は徹底的に保護されるべきである」ということがジュネーブ条約をはじめとする国際人道法の流れです。
そこには、戦争を違法化し、戦争をなくす精神が込められています。
「平和無防備条例」は、西宮市議会においては否決されましたが、その理念は戦争しない約束である平和憲法と国際人道法をいかし、全ての市民の生命を守る条例であるということを、あらためて確認したいものです。
           (四津谷 薫)



個人情報は誰のもの? 
住民基本台帳大量閲覧制度に終止符を!

 5月30日、金沢地裁において住基ネットの強制は違憲との判決があった。その翌日には名古屋地裁で全く逆の判決があったが、こちらは爛劵薀甅畉枷輯韻砲茲觜餾追認判決に過ぎない。問題の確信は、住所・氏名・生年月日・性別の4情報はプライバシーなのか、そうした個人情報を行政が自由に扱ってもかまわないのか、ということである。
 金沢地裁・井戸謙一裁判長の違憲判決では多くの我々の主張が展開され、「プライバシーの権利には、この自己情報コントロール権が重要な一内容として含まれていると解すべきである」としている。この判決に総務省はうろたえ、同種裁判の被告となっている全国の自治体当局は困惑している。
 神戸新聞によると、井戸知事は「国などの主張が認められず驚いている。本県被告の裁判については、今後とも本県の考え方を主張していく」と述べている。兵庫住基ネット訴訟ではすべてを国の指定代理人(大阪法務局訟務部付検事・訟務検事)に任せておいて、猖楔の考え方を主張瓩箸呂茲言えたものだ。総務省のお先棒を担いで住基ネットの活用を図ってきた知事にとって、この違憲判決はずしりと重いはずである。
 金沢地裁判決はコンピュータ化の進展のなかで、個人情報の大量漏洩や個人データの不正売買が横行していることを指摘し、「このような社会状況に鑑みれば、私生活の平穏や個人の人格的自律を守るためには、もはや、プライバシーの権利を、私事の公開や私生活への侵入を拒絶する権利と捉えるだけでは充分でなく、自己に関する情報の他者への開示の可否及び利用、提供の可否を自分で決める権利、すなわち自己情報をコントロールする権利を認める必要」があるとしている。
 さらに引用を続けよう。「上記4情報は、一般的には個人識別情報であって、その秘匿の必要性が高いものではないということはできる。しかし、このような個人識別情報であっても、これを他者にみだりに開示されないことへの期待は保護されるべきものである上、秘匿の必要性は、個々人によって様々である。すなわち、ストーカー被害に遭っている人にとっては住所について秘匿されるべき必要性は高いし、性同一性障害によって生物学的な性と異なる性で社会生活を送っている人にとっては性別について秘匿されるべき必要性は高いといわなければならない。通名で社会生活を送っている人のうちには、それが戸籍上の氏名でないことを知られたくない人がいるであろうし、生年月日をむやみに人に知られたくないと思う人は少なくなくあるまい。また、住民票コードは、それ自体は数字の羅列に過ぎないが、住民票コードが記録されたデータベースが作られた場合には、検索、名寄せのマスターキーになるものであるから、これを秘匿する必要性は高度である」
 「『住民の便益』とプライバシーの権利は、いずれも個人的利益であり、そのどちらの利益を優先させて選択するかは、各個人が自らの意思で決定するべきものであり、行政において、プライバシーの権利よりも便益のほうが価値が高いとして、これを住民に押し付けることはできないというべきである。すなわち、便益は、これを享受することを拒否し、これよりもプライバシーの権利を優先させ、住基ネットからの離脱を求めている原告らとの関係では、正当な行政目的たり得ないといわざるを得ない」
 結論は明快である。「住基ネットは住民に相当深刻なプライバシーの権利の侵害をもたらすものであり、他方、住民基本台帳に記録されている者全員を強制的に参加させる住基ネットを運用することについて原告らのプライバシーの権利を犠牲にしてもなお達成すべき高度の必要性があると認めることはできないから、自己のプライバシーの権利を放棄せず、住基ネットからの離脱を求めている原告らに対して適用する限りにおいて、改正法の住基ネットに関する各条文は憲法13条に違反すると結論づけるのが相当である」
およそ現在の劣化した司法のなかにあっては、最良の判決と言うべきであろう。
憲法第13条(個人の尊厳) すべて国民は、個人として尊重される。生命、 自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない 限り、立法その他の国政に上で、最大の尊重を必要とする。
住基ネットからの離脱を求める要求が、憲法13条で規定されている個人の尊厳によるものであることを、金沢地裁判決は明確に認めたのである。ちなみに、先ごろ発表された自民党新憲法第一次案では、この条文は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」へと改変されている。
 ここで触れるのは蛇足のようでもあるが、国による支配・管理の強化というてんで住基ネットとの共通性を見ることができる。すなわち、犖共の福祉瓩ら犖益及び公の秩序瓩悗僚颪換えによって、個人の尊厳はたちまち国のコントロール下に置かれてしまうのである。自民党改憲案は大日本帝国憲法への退行である。
 この間のもうひとつの動きとして、住民基本台帳大量閲覧制度の見直しがある。その実態については本誌15号(05.1.12)で紹介したが、自治体によって住民の個人情報が切り売りされているというものであった。4情報はプライバシーではないと強弁していた総務省も、暴露されたこの実態と大量閲覧原則禁止を求める声に押され、有識者らによる検討会を設置せざるをえなくなった。
 全国で13地裁、約450名を擁する住基ネット訴訟、高まる住基台帳大量閲覧制度への批判。ここから、自己情報コントロール権の確立、ひいては国家に拘束されない個人という概念も育っていくことを望みたい。             (晴)


第9回住基ネット裁判報告・05.7.15 
神戸地裁、兵庫県に文書提出命令を発す!
 7月15日、裁判官が交代して2回目の口頭弁論となりました。にこやかで柔らかい表情の裁判長に、ひょっとしたら・・・と、期待を持ちつつ傍聴に臨みました。今回、その期待に応えるかのような報告があります。
 兵庫県が各市町に対して行った調査(住基ネットのセキュリティ体制チェック)について、原告側が文書提出命令を裁判所へ申立て(4月18日)をしていましたが、6月30日付けで神戸地裁が兵庫県に対して提出命令を発していたのです。
「本件非公開部分が明らかになれば、本件文書作成当時の被告各市町のセキュリティに関する意識の高さ、セキュリティ体制の強弱が、すなわち、被告各市のセキュリティに関する対応の優劣が、ある程度まで明らかになるということができる。」
 この提出命令は、6月20日に弁護団より意見書が出され、6月22日にインカメラ手続きが行われた、その結果といえます。インカメラ手続きという耳慣れない用語ですが、民事訴訟法の改正で導入されたもので、裁判官のみにより行われる審理です。要するに、今回のように証拠の提出を巡り対立した場合、文書の所持者にその文書を提示させ、裁判官のみで閲覧し、文書提出を拒否する理由の正当性を判断するというもの。それでは、兵庫県はその提出命令に素直に応じたのでしょうか。
 しかし、被告側の兵庫県は文書提出命令に対して、大阪高裁へ即時抗告していたのでした。その理由は、「セキュリティ体制チェックリスト」が公開されると、各市町の住基ネットへの不正侵入が試みられる危険があり、県条例によって行なう本人確認情報の提供(徴税・用地取得事務)に多大な支障が生じるというものです。
 ここに、被告側のこれまでの住基ネットの安全性は万全とする主張が、矛盾していることに気づくと思います。被告の言う住基ネットの「安全性」を公開することが、なぜ「公共の利益を害するおそれ(住基ネットに不正侵入が試みられるおそれ)がある」のでしょうか? 兵庫県の住基カードの取得率が、1%にも満たない、たったの0.36%という数字が(全国でも0.43%、3月末現在)この栽判の行方を物語っているのではないでしょうか。
 というわけで、今回裁判は高裁の判断待ちということになり、あっさり終わってしまいました。大阪高裁の判断の結果では、次回で終結ということも考えられます。それから次回は世話人の大月さんの意見陳述も予定されています。より多くの方の傍聴を呼びかけます。                        (折口恵子)
 


 資料:特殊勤務手当に関する申し入れ
西宮市長  山田 知 様
                −2005年5月19日・市民オンブズ西宮

 4月20日、「神戸新聞」1面で「西宮市 条例定めず特勤手当 過去10年で50億円」と報じられました。私たちも始めて知ることで、その杜撰さに驚くばかりです。山田市長の見解は「基本事項を条例で定め、詳細は規則に委任しており、違法とは考えていない」(20日付「毎日新聞」夕刊)ということですが、その後の報道もあわせて私たちは次のように判断します。

 ,泙佐靄椶蓮給料・手当・旅費の支給は条例で定めなければならず、法律・条例 に基づかない支給は禁止されている(地方自治法204条)。
◆。隠坑沓糠、旧自治省が「違法な給与の支給等の是正について」という通知のな かで、条例化を怠っているのは給与条例主義に反していると指摘し、条例化を求め ている。1995年、熊本市の条例にない窓口手当について最高裁で違法とされ、 返還を求められている。
 さらに兵庫県市町振興課による再三の指摘があったにも関わらず、「特勤手当は 多岐にわたり、すべてを条例化すると膨大になる」(担当者)として条例化を怠っ てきた。これは明らかに任務放棄であり、面倒臭いからやるべき仕事をサボってき たというあきれた発言である。
ぁ,気蕕法△海Δ靴薪寮颪兵詑屬砲弔い謄船Д奪すべき市議会も、「条例化の必要 があるとは知らなかった。議員も反省しなければならない。手当の細かい内容は議 員もよく分からないのが実情。条例化すればきちんと点検できる」(魚水けいこ議 長)という体たらくである。

 以上、市民の代表としてチェック機能を発揮すべき市議会は市長に依存し、市長は規則は公開しているので市民が点検できると説明責任を放棄しています。確かに、西宮市のホームページを開けば条例も規則も見ることができます。しかし、条例は143ページ、規則は65ページと膨大な量であり、市民が簡単に読みこなせるものではありません。
 先に明らかになった自治振興会の補助金違法流用と同じ構造的な問題が、この条例化なしの特殊勤務手当支給にもあります。市民からみれば、どちらも目の届かないところでの市役所内部での公金の不明朗な支出と言わざるを得ません。こうした事例はまだ他にもあるかもしれず、市役所内部の点検だけですべてを是正することは不可能と思われます。

こうした状態を正すために、以下の申し入れを行います。

1.39種類に及ぶ特殊勤務手当のなかには本来業務ではないかと思われるものが多 くあり、点検整理したうえでの条例化が急務です。しかし、内部のみの見直しには 限界があるので、外部に開かれた検討の場を設けること。
2.特殊勤務手当の支給が事実上違法状態になっているのは市当局の怠慢によるもの であり、安易に市職員に負担を押し付けるべきではありません。当該組合との誠実 な団体交渉と職員からの意見の汲み上げを通じて、特殊勤務手当にかぎらず手当総 体のあり方について合意形成を計ること。
3.市行政のトップとして、市長の責任は重大です。現状の追認、正当化、なし崩し 的見直しでは市民は納得しません。市民に分かるかたちでトップとしての責任を明 らかにすること。
                                    以上


[会員の声]
「少子高齢化社会」の現実と「介護の谷間」に遭遇して

新聞各紙が「日本の男子人口が初めて減少に転じた」と報じた,少子高齢化社会の到来による2020年と言われる「総人口の減少」が現実のものとなって来た。
去る暑い日、神戸の地方裁判所に用事があり出かけた,台風一過の翌々日、おそらく35度Cを越える猛暑の午後だ。
神戸の中央体育館の横の橘橋付近を、汗を拭き拭き裁判所に向って歩いていると、道の端に帽子をかぶった老人が寝そべっている,「真昼から酒でも飲んでいるのか、気楽でいいな」と通り過ぎようとした、ところがどうも様子が違う、老人の足元から流れているのは小水らしかった。
思わず振り向くと、ほぼ同じタイミングで老人が「兄さん助けてくれないか」と声をかけてきたのだ、正直、猛暑の中だ、裁判所の予定時間も余りない、「無視してもいいな」との思いが一瞬、頭をかすめた。
しかし、「なぜお前は裁判所に行こうとしているのか、郵政民営化の中で小包を1件たった105円で配達を強制されていた若い労働者が組合を結成して闘いに立ち上ったら、見せしめで解雇された。彼を支援し、その裁判を傍聴するために行くのではないか?」「この老人は明日のお前だ、お前もやがてこうなる、見捨てていいのか」との問いが頭を駆け巡った。
倒れている老人のところに引き返し「どうしたの」と声をかけた、「歩けない、アパートまで連れて行ってくれないか」との、弱くたどたどしい言葉が返されて来た。
おそらく年齢は70歳過ぎか、ジーンズは下げられたまま、シャツも濡れたままだ、足もそして両手も少し震えている、どうやら暑い最中に散歩に出たが、何かの障害が発生しそこに倒れ、用を足したが動けなくなったようだ。
少し濡れたジーンズをどうにか引っ張り上げ、「どこのアパートなの」「ご家族の方はいるの」などと確認、肩を担いでどうにか歩き出す、幸い足のほうはそれでもまだしっかりしていた。
迷いに迷って約現場から50メートルばかり離れた、両側をマンションに囲まれた古いアパートにたどり着く,管理人はいないと言う、「チャンと食べているの」「暑いんだから無理して出ちゃあダメだよ」等と説教じみた事を言ってしまった、しかしエレベーターも手が震えて行き先ボタンを押すこともままならない。
5日に1回くらい外に出ると言う、しかも頼りになる友人もいないようだ。
老人は名前を名乗り、「兄ちゃん、あんたは本当に優しい人だ」「今どき珍しい人だ」などと言って、何回も頭を下げてくれて、エレベーターで帰って行った。
介護を職業としている友人によると、担当している被介護者の大半は、満足な排泄が出来ず、認知症や、徘徊など患った人が多いと言う、そして懸命に働き汚れた仕事をしても月10万円にしかならないそうだ。
しかし彼女は自信を持って言い切った「普通に働いていた頃よりも、今の仕事の方が遥かに満足度は高い」とー。
私たちは間違いなくこれまで経験した事のない、待ったなしの高齢化社会に遭遇する、私たちの大半はやがて自らの衰えを自覚する年齢に達し、そして今健全と思い込んでいる精神と肉体が、自分ではコントロール出来ない「恐ろしい明日」を迎える事となる。

この国の首相は「国民に痛みを求める構造改革」なるものを打ち出したままだ、高齢化社会に反比例する「郵政民営化」実現に必死となり、国民の事も、高齢者の心配もなく、近隣の諸国の人々の声さえ全く聞こうとはしない。
老齢者の医療費負担は高くなり、サラリーマンは将来に何の保証もない介護料を天引きされている、また今国会で審議されている「障害者自立法」は、全く働けない障害者の人々にも「応益負担」を求めるトンでもない法律である。
公立病院の合理化と差別化、効率化が進み、「儲かる医療」が推奨されるようになって来た、最早私たちの「かけがえのない命」も資本の儲けの対象となって来たのだ。
神戸市は全く採算の合わない神戸空港を建設し、裁判所もそれを認めた、高度医療センターも開設された、しかし今、介護や適切な医療を必要とする高齢者は捨て置かれたままだ、私はただその「現実」にたまたま、遭遇したに過ぎない。

老人が倒れている場所から百メートルしか離れていないスポーツセンターは、元気一杯の高校生の声で溢れていた、両側にある立派なマンションの住民も倒れて動けない老人の姿を見たに違いない。
今年は戦後60年、この老人も戦争体験者だろう、私は8月15日までに何か手土産でも持って、老人に再び会うことに決めた。
そして状況によっては、神戸市に怒鳴り込もうと思っている。
                       2005年7月29日:井上淳

重度身障者医療費助成限度額引き上げについて ─────────────── 
 西宮に住む重度身障者のものです。今年7月から当市は助成限度額を引き上げ、事実上平均給与所得のものの助成はなくされました。西宮の身障者助成に対する取り組みは神戸市などに比べひどいものです。オンブズマンの活動の関連で何か対抗できる活動で助言いただたら助かります。何かしたいと思います。神戸市に移転も考えているのですが。身障者は負担になるから出て行けといわれているように感じています。
───────────────────── メールへのおたよりから(7.23)



市民オンブズ西宮第5回総会開催される!
                    −6月25日(於・「ウエーブ」)
 去る6月25日、第5回総会を開催しました。当会の活動もようやく5年目をむかえ、さらに次へのステップをめざしています。多くの市民の皆さんの参加を得て、誰もが健康で文化的な生活を保障される、平和な西宮市の実現をめざしたいと思います。なお、第5回総会で次の活動を行っていくことを確認しました。
──────────────────────────────────────
 ‘常活動を進めるための定例会(毎月第2水曜日夜7時より・於「ウエーブ」)  と、研究を深めるための市政研究会を開催します。
◆’4回の通信の発行とインターネットの活用など、宣伝活動を進めます。
 職員自治振興会補助金不正流用返還請求訴訟を取り組みます。監査請求も引き続  き提起します。
ぁ〜換颪離ンブズ団体、阪神間・市内の諸団体と連帯し、市民運動を進めます。
──────────────────────────────────────
新役員  代表世話人  前川協子  折口晴夫
     世話人    岡本真砂  森池豊武  米田和正  四津谷薫(会計)
     会計監査   岡本幸子
──────────────────────────────────────
  −当面の活動予定−
9月10日(土)13時〜 第12回全国市民オンブズマン別府大会
 〜11日(日)〜13時  会場:ビーコンプラザ(別府市山の手町)
 もっと広げよう、情報公開!〜あの手この手の公金横領・不正支出にストップを〜
9月14日(水)西宮市職員自治振興会補助金不正流用返還請求訴訟第1回口頭弁論
        13時15分〜 神戸地裁203号法廷(JR「神戸」駅北西)
        9月定例会 19時〜21時 「ウエーブ」414学習室
10月7日(金)兵庫住基ネット訴訟第10回口頭弁論
  10時30分〜 神戸地裁204号法廷
10月12日(水)10月定例会 19時〜21時(於「ウエーブ」)
┌────────────────────────────────────┐
│ 編集後記  9月から裁判が始まります。傍聴参加とカンパをお願いします。 │
│ 下記口座あて、裁判カンパと書いて振り込んでください。ついでに、年会費は │
│ 3000円です。会員になってください。定例会への参加や、通信についての │
│ 意見を、そして何より市政について関心を持ってください。     (晴) │
│  【郵便振替口座:00970−0−15953 市民オンブズ西宮】 │
└────────────────────────────────────┘
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